大阪・関西万博によせて ー ユニバサルイベント協会 理事長 髙橋保之
2025年06月09日 コラム 開幕から約2か月が経過した大阪・関西万博ですが、先月末、想定の来場者数1日15万人を初めて上回ったとか。ニュースでは博覧会の中身より入場者数が予定に届くのか?入場後の移動がスムーズではないなどマイナスイメージの記事が多いようです。一方、来場者アンケートで「総合的に満足」79.7%、「もう一度行きたい」84%など概ね良好な反応のようです。
パビリオンによっては「優先レーン」が設けられ、障がい者や乳幼児を連れた来場者がスムーズに入場できるように配慮されています。順番待ちの列の脇には優先レーンを設置、スタッフの誘導でスムーズに入場できているとか。米国、ドイツ、中国、など多くの海外パビリオンが同様の配慮を行っています。
万博協会はバリアフリー法や障害者権利条約の基準を基に「ユニバーサルデザインガイドライン」を定めています。車いすの利用者や乳幼児連れ、精神障がい者、肢体障がいのある人、外見ではわからない内部障がいがある人などを「特に配慮が必要な利用者」と位置づけ、各パビリオンに優先レーンの設置を推奨。待機レーンの幅を車いすと歩行者がすれ違えるよう最低1.5mと定め、ホールでは客席の一定数を車いす用としています。一方、SNSで発信される情報だけを参考にして、優先レーンの存在を知らずに来場する人も多いとか。海外パビリオンでは、本来配慮されるべき来場者が優先レーンを使わず、一般の列で順番を待つ光景も散見されているようです。
万博協会の取り組みが周知され、誰もが配慮を受けやすくする環境作りは進みましたが、それらの環境が存在する情報が、必要な人に届くことで、バリアフリーからユニバーサルデザインへと成長していきます。
万博を機に益々ユニバーサル環境が一般的な社会になっていくことを期待しています。