第13回ユニバーサルキャンプ in 八丈島報告書のテキストデータです。 表紙のほか全21ページあります。  【表紙】第13回ユニバーサルキャンプin八丈島報告書 2017年9月9日から11日 <表紙写真の説明> 八丈島のグラウンドで、キャンプ参加者全員での集合写真   【表紙の裏】 いよいよ、ユニバーサルキャンプのはじまりです! 飛行機や船に乗り込んで、めざすは南国八丈島。 日常から少し離れて、ちょっと不便なキャンプ生活を、 さまざまな特性の仲間たちと体験してみましょう。 そこには、新しい出会いと豊かなコミュニケーションが待っています!   <写真の説明>4枚あります 八丈空港の写真、飛行機が着陸する写真、貸切した八丈の市営バスに乗り込むところ、ホワイトボードに書かれたユニバーサルキャンプin八丈島を空港滑走路で掲げている写真。 【1ページ】目次 ページ2=謝辞 ページ3=開催趣旨・概要 ページ6=キャンプ実施報告、1ダイバーシティきっかけコミュニケーション ページ7=2ユニキッチン ページ8=3ダイバーシティどっぷりコミュニケーション ページ10=4選択プログラム ページ11=5ユニバーサル盆踊り ページ12=6ダイ・バー ページ13=7ユニバーサル・スポーツ ページ14=8振り返り ページ15=9コラム ページ16=企業研修プログラム実施報告、1事前研修 ページ17=2キャンプ研修 ページ18=3事後研修 ページ19=参加者の声 【2ページ】謝辞  亜熱帯の八丈島では珍しく日中突然の雨もなく、3日間晴天に恵まれ第13回ユニバーサルキャンプin八丈島は無事に終了いたしました。  13回、大きな事故もなく、初めて会う参加者たちが夕方には旧知の仲のように共に食事を作り、語り、老いも若きも障がいの有無も関係なく仲間になっていく姿は、まさにこのキャンプの醍醐味です。当初(14年も前)、ユニバーサルキャンプをしたいと企画を出した時の周りの「無茶なことを」という反応を振り払って一緒に取り組んでくれた実行委員長はじめ参加者からスタッフになった仲間たち、八丈島の町長や産業観光課の方々、婦人会の方々や支えてくださった多くの島の方のお力をいただけたことが、14年たったいまになって奇跡のように思えます。そして、ダイバーシティ社会が大きく広がりつつあることに感動を覚え、感謝の思いでいっぱいです。あらためて、八丈島の方々、参加者やスタッフ、そして協賛いただいている方々に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。  NPOユニバーサルイベント協会 理事長 内山 早苗   今年もユニバーサルキャンプは、参加者はじめ島の方々に多くの“気づき”の機会を提供できたのではないかと思っています。 “気づき”とは、「それまで見落としていたことや問題点を認識すること」、「習慣化された感受性(周りの人が望み、期待している本質部分に気づき、それに応えていくという感受性です)の発動」とあります。閉村式の挨拶で「日常に戻ると“気づき”は忘れてしまいますね。」と話しましたが、3日間八丈島で体験したことは脳裏に焼き付いているはずです。日常に戻っても何かの機会にユニキャンでの“気づき”を思い出して下さい。いつか自然な形の習慣になっていると思います。 今回、島の方からも“ユニバーサルアイランド”を目指します。という声をいただきました。まさに感受性が発動されたわけです。13年続いたユニキャンが、また一歩前進したと確信した“ユニバーサルキャンプ2017”でした。   NPOユニバーサルイベント協会 専務理事 ユニバーサルキャンプin八丈島実行委員長 髙橋 保之   【3ページ】謝辞続き  今回もユニバーサルキャンプin八丈島へお越しいただきありがとうございました。 第13回を迎え、今年も多くの方々に来島していただいたことを非常に嬉しく思っています。  このイベントが13回続いたことは、ひとえにユニバーサルイベント協会の皆様のおかげです。 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されますが、八丈町としてもダイバーシティ環境の構築がより必要である、と実感しているところです。  八丈島の不自由・不便な部分もユニバーサルキャンプでは魅力となっている、と聞いておりますが、八丈町としても、婦人会・ちょんこめ作業所など各団体と共に、今後もユニバーサルキャンプin八丈島がより実りのあるイベントとなるように協力していきます。  今後とも、さまざまな「気づき」を八丈町にも提供していただけたらと思っております。  ユニバーサルキャンプに参加していただいた方々が、再度八丈島へ来島していただくことを心よりお待ちしております。 八丈町長 山下 奉也    当社は「ユニバーサルキャンプin八丈島」の共催企業として、NPOユニバーサルイベント協会様と共にキャンプの立ち上げから継続してこの活動に参画してまいりました。  13回目となるユニバーサルキャンプは天候にも恵まれ、ダイバーシティを体感する貴重な3日間となりました。今年も多くの方にご参加・ご支援いただき、無事キャンプを終了できたことを大変ありがたく存じます。  ユニバーサルキャンプは参加者の多様性が価値となる場であり、これからの企業の、社会のあり方を考えるうえで様々な示唆を与えてくれます。当社の社員も毎年キャンプに参加しておりますが、貴重な気づきと学びの機会になっていると実感しております。  いま、企業はもとより、社会全体がダイバーシティをどう受け入れ、活かすかが問われる時代になっています。引き続き、皆さまとともにこの価値ある場を創り、そして未来に繋いでいきたいと考えております。 株式会社丹青社 代表取締役社長 高橋 貴志     【4ページ】開催趣旨、概要   ユニバーサルキャンプは、ダイバーシティ(多様性を受け入れること)の考え方のもと、みんなが一緒にいきいき暮らせる社会の実現を目指し行われる2泊3日の交流イベントです。八丈島の豊かな自然のもと、障がいの有無、年齢、性別、国籍に関係なく多様な参加者が集い、キャンプという日常生活より少し不便な環境の中で、互いに協力し、サポートし合います。そうした経験をとおして、参加者一人ひとりが尊厳をもつ対等な関係として自立、自律するとともに、その輪を広げていくことを目指しています。   企業研修プログラムについて 「ユニバーサルキャンプin八丈島」企業研修は、多様な人材の力を引き出すための意識・姿勢を身につける、参加・体験・実践型の研修プログラムです。多様な参加者とともに行われるキャンプイベント「ユニバーサルキャンプin八丈島」の場を活用し、参加者同士の協働やコミュニケーション体験を通じて、ダイバーシティ(多様性)を成果につなげる意識・姿勢を身につけます。  企業研修プログラムは八丈島でのキャンプに加え、その事前、事後の5日間の研修で構成されています。企業研修参加者は、キャンプではグループのリーダー役を務めます。事前研修、キャンプ、事後研修のプロセスをとおして、学習、実践、内省のサイクルを繰り返すことで、実践的なリーダーシップ力が磨かれます。     開催概要 開催日程、場所 事前研修 日程 2017年8月22日(火) 場所 国立オリンピック記念青少年総合センター キャンプ 日程 2017年9月9日(土)から11日(月) 場所 八丈島 底土キャンプ場 他 事後研修 日程 2017年10月6日(金) 場所 国立オリンピック記念青少年総合センター 参加者数 109名(一般参加85名、企業研修参加24名)(他、事前研修のみ参加9名)   研修参加企業:株式会社EP綜合、株式会社岡村製作所、株式会社シミズオクト、JR東日本テクノロジー株式会社株式会社JDN、株式会社セレスポ、株式会社丹青社、株式会社電通イベントオペレーションズ株式会社UDジャパン、楽天ソシオビジネス株式会社 共催:東京都八丈島八丈町、株式会社丹青社、株式会社UDジャパン   協賛:株式会社伊藤園、吉備ひかり農園、坂本捺染株式会社、東京海上日動火災保険株式会社    東京キリンビバレッジサービス株式会社、東明興業株式会社、株式会社ラウンドリング 後援:一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会、一般社団法人 日本イベント産業振興協会    一般社団法人 日本イベントプロデュース協会、一般社団法人 日本空間デザイン協会    公益社団法人 日本サインデザイン協会、一般社団法人 日本商環境デザイン協会    一般社団法人 日本ショッピングセンター協会、公益社団法人 日本フィランソロピー協会   協力:ちょんこめ作業所、学校法人 東京マスダ学院、八丈町の皆さん   【5ページ】プログラム概要 事前研修 8月22日(火) 講義 ダイバーシティの理解と受容、支援型リーダーシップ ダイバーシティコミュニケーション実習「ルームオブダイバーシティ」 キャンプ研修での目標、アクションプランの設定 振り返り(気づきの共有)   キャンプ 9月9日(土) 開村式 アイスブレイク、オリエンテーション ダイバーシティきっかけコミュニケーション ユニキッチン ダイバー(自由参加) リーダーシップ振り返り(研修参加者対象)    9月10日(日) ユニウォーク(自由参加) ダイバーシティどっぷりコミュニケーション 選択プログラム ユニバーサル盆踊り ダイバー(自由参加) リーダーシップ振り返り(研修参加者対象)   9月11日(月) ユニバーサルスポーツ ペタンク 振り返り 閉村式   事後研修 10月6日(金) キャンプ振り返り(気づきの共有) ダイバーシティに関するケーススタディ演習 コミュニケーションアクティビティ 体験を仕事に活かすワークショップ   【6ページ】キャンプ実施報告 1.ダイバーシティきっかけコミュニケーション プログラムのねらい ダイバーシティの理解を深めるため、各障がいの特性を理解してもらう。 それにより、各障がいに必要な配慮について気づきを得る。 また、参加者間の緊張や壁をなくし、コミュニケーションを円滑にする。   レポート 「聴覚」「視覚」「肢体(車いす)」「こころ(精神・知的障がいなど)」について、各グループの講師より、 障がいの特性やサポート方法、コミュニケーション方法の説明を行いました。  参加者には、実際に特性がある人の立場になって、情報の壁、視覚障がいの手引き方法、車いすのサポート方法、 コミュニケーション方法等を体験してもらいました。 また、同じ種類の障がいのある人でも、一人ひとりに最適なサポート方法は異なるため、 相手とコミュニケーションをとりながらサポートすることが大切であるとの説明がありました。   <6ページ写真の説明> きっかけコミュニケーションの様子を写した写真が6枚あります。 聴覚障がい者の講師の写真、 精神障がいの特性について寸劇で紹介しているシーンの写真、 車いす体験やサポート体験をする参加者の写真が2枚、 アイマスクを着けて視覚障がいの体験をしているシーンの写真、 部屋ごとの時間割りが書かれているホワイトボードの写真。   【7ページ】2.ユニキッチン プログラムのねらい 班で協力して料理を作ることで、メンバーの特性・個性・能力について相互理解を深める。 そして、その理解から役割分担や、チームワークの重要性を学びユニキャンでの生活が充実したものになるようチームワークを高める。    レポート 今年のメニューは、『ユニ汁(豚汁)』でした。  八丈島の福祉作業所「ちょんこめ作業所」のメンバーが調理に加わり、メンバーの特性・得意・不得意を考えながら役割分担を決めました。 包丁使いが苦手な人がいる一方で、目の見えない人が野菜を手際よく切る光景があるなどして、多くの気づきを得ることができました。   今年のユニキッチンでは、調理時のかまど利用をとても協力的に行えました。 火がなかなか起こせない班があった時も他班が協力していたり、和やかな雰囲気で調理を行いキャンプ自体のチームワークが深まりました。   <7ページ写真の説明> ユニキッチンの様子を写した写真が4枚あります。 役割分担し、野菜を切っているシーンの写真、 全盲の参加者が器用にじゃがいもの皮むきをしている写真、 火を起こしているシーンの写真、 班のみんなで楽しく食事をしているシーンの写真。      【8、9ページ】3.ダイバーシティどっぷりコミュニケーション プログラムのねらい 異なる価値観・視点をもった人々とじっくりコミュニケーションをとることで、その違いや特性を理解する。 自己の視野を広げ、社会の中で互いを活かす方法や仕組みを考えるきっかけとする。     レポート 会場を三根小学校に移して行う、キャンプのメインプログラムです。 参加者はグループに分かれて各部屋を巡り、部屋の「主人」からその特性に関連する話を聞きます。 その後、知りたいと思うことはどんなことでも質問してよい、というルールのもと、参加者と主人によるディスカッションが行われます。 主人は参加者の中から選ばれ、順番に話をします。  各部屋では、様々な生活スタイル・価値観・視点を持った主人の話に刺激を受け、次々に質問が出ていました。 各部屋を一通りまわった後は班で集まり、各自聞いた話を共有することで、新たな気づきを得ていました。     音の部屋 聴覚に障がいがある方の部屋です。 電話ができないことで聞こえる友だちと距離が出来てしまったこと、ITの普及のお陰で困らなくなったこと、などのお話がありました。 別の主人は軽い難聴のため、一対一の会話では困らないものの、それゆえに障がいを理解してもらいにくく、会議などの場でとても困っているという話がありました。   「幼少期は気にしなかったが、中学校にすすむと友人同士の会話のテンポが速まり、会話について行けず、一緒に笑うことができなくなった。 いまは映画でもテレビでも字幕など情報保障が増えたので、一緒に笑えるようになった」この話より、 情報を共有することは生活を豊かにすることにも通じると再確認できました。   写真:部屋の主人に質問している様子   動きの部屋 車いす使用者や、動きに不便がある方の部屋です。 身長が120cmほどの低身長の主人からは、子供時代の体験談を通して、周囲がどんどん成長していく中、自身の身長が伸びないことへの葛藤があった反面、周囲が自然に接してくれたことへの感謝が語られました。 好きになる人は身長の高い人なのかという参加者からの問いには、やはり自分にないものを求めるといった回答もあり、 共感するといった声があちこちからあがっていました。    電動車いす使用者の主人は「以前の職場では親切にもされたが扱いがザツに感じたこともあった」ようです。 それは「仕事に対するフィードバックがなかったとき」に強く感じたそうです。仕事に対して「感謝」も「要求」も無かったことがそう思わせたようでした。そのことから、「感謝」はもちろんだが、障がいの有無にかかわらず仕事ではしっかりとした「要求」をすることも相手を尊重することになると学びました。   写真:教室の中で、参加者が部屋の主人の話を聞いている様子   光の部屋 視覚に障がいがある方の部屋です。 会社員として働く一方主婦として家事もこなす全盲の主人からは、家事や日常生活での工夫や便利な製品などについての紹介がありました。特に、ドレッシングやジャム、シャンプーなど、身近なものにも触ってわかるよう点字などの印がついているものがあるということを初めて知った参加者も多かったようです。 写真:見えない主人が話している様子。となりには手話通訳。   関わりの部屋 人それぞれの目に見えない色々な悩みや日々の生活での出来事を話していただきました。 ある主人は、不眠によるアルコール依存から家族の支えで見事に復活した話をしてくれました。 それを聞いた参加者は、自分も親に対して大きな力になれることを再発見していました。 発達障がいの主人へ参加者から、世界的に有名な成功者の中に発達障がい者が多いと聞くが、という質問があり、 主人は、個々の成功の裏にあるのは障がいでは無くて努力なのでは、と話してくれました。   ある精神障害の主人 1.うれしい、楽しいが勝つときがくる 2.SOSは早く出す 3.気持ちのハードルをさげる   これが己を守ることになる、と話してくれました。 楽しいと思う気持ちを大切に、周囲の人々や自分自身を素直に受け入れていけば、 自分ももっと生きやすくなれるのかもしれないとのお話でした。 写真:主人が話している様子。周りには参加者。   八丈の部屋 八丈島に住んでいる方々からお話をしていただきました。 八丈島の歴史や文化、豊かな自然と温かい人々に囲まれた八丈島での生活について話していただきました。 就職のために本土に行ってしまう若者たちの話や、島を大切に思う気持ちなど、胸が熱くなるお話でした。 離島という距離的な障害が常にある、移住者受入れにむけて、空き家の使い方が今後の課題である、というお話もありました。 写真:八丈島に住んでいる主人が話している様子。周りには参加者。   【10ページ】4.選択プログラム  プログラムのねらい 11のコースから選択したプログラムに参加。 班のメンバーとは異なる多様な参加者と一緒に楽しみつつ、八丈島の自然・文化などに触れることで、多くの気づきを得る。 参加者が温泉・郷土料理・八丈太鼓・工芸体験・スノーケリング・海水浴・ヨガ・サイクリングの中から選択したプログラムを、班の垣根を越えて一緒に楽しみます。キャンプ場を離れて八丈島の各所に行き、自然や文化に触れました。 また、自由に参加者同士で交流し、お互いの特性の理解を深めたことで、新しい発見や気づきが得られました。    <10ページの写真の説明> 選択プログラムの各プログラムの様子を写した写真が5枚あります。 海沿いをサイクリングしている写真、 島の方々に八丈太鼓を教わる写真、 島の婦人会の方に郷土料理を教わるシーンの写真、 スキューバ~ダイビングをしている写真、 海辺のヨガで心も身体もリラックスしている参加者の写真。   【11ページ】 5.ユニバーサル盆踊り プログラムのねらい 地元住民の方々にも気軽に参加していただき、地域との交流を図るとともにダイバーシティ体験を一緒に楽しむ。 八丈島の文化や特産品など、島の魅力を味わう。 レポート ユニキャン名物お楽しみイベント、ユニバーサル盆踊り。三根小学校の体育館で、八丈島の皆さんも参加して一緒に盛り上がりました。今年も八丈島の方たちによる伝統芸能やフラダンス、ちょんこめ作業所の皆さんによる『さんさ踊り』、キャンプ参加者の手話パフォーマンスなど盛りだくさんでした。司会は手話と音声の2人で掛け合いをしながら進行しました。 見えない人にはみんなで踊りを工夫して伝えたり、聴こえない人が力強い太鼓を叩いたりして、大いに盛り上がりました。今年は特に、選択プログラムで地元の方から八丈太鼓の講習をうけた参加者が成果を披露したのが印象的で、島の人たちもその上達ぶりに驚いていました。  地元の家庭料理や、地酒、ちょんこめ作業所の手作りのバッグや手ぬぐいなどの出店も大盛況で、楽しい空気が会場を包んでいました。    <11ページの写真の説明> ユニバーサル盆踊りの様子を写した写真が6枚あります。八丈島の伝統芸能、皿踊りを参加者も楽しんでいるシーンの写真、 視覚障がい者の手を取り盆踊りを教えているシーンの写真、八丈太鼓を体験する参加者の写真が2枚、 フラダンスを参加者みんなで教わっているシーンの写真、体育館での集合写真   【12ページ】6.ダイバー プログラムのねらい 普段の生活で、あまり一緒に過ごすことのない聞こえない人、見えない人、車いすユーザーと一緒にお酒を飲んだり食事をしたりすることで、お互いに特性を理解し、バリアとは何か、バリアフリーとは何か、など、踏み込んだ話ができる機会を作る。 レポート ダイ・バー(夜のダイバーシティ・コミュニケーション)は満天の星の下で他の班の参加者と交流ができるプログラムです。その日のプログラムを通じて感じたことや気づきをたくさんの人と話し合うことで、さらに新たな気づきを得られました。 毎年恒例の「サイレント・バー」「バー・イン・ザ・ダーク」に加えて、今年は二人の車いすユーザーがマスターの「スナック底土」をオープンし、お酒をストローで飲む経験をしました。  「サイレント・バー」 
レポート 音声会話をしない代わりに、身ぶり手振りで表してみたり、ホワイトボードを使って会話を楽しむ。 手話が出来なくてもコミュニケーション豊かに楽しめました。 写真:サイレントバーで参加者と筆談でコミュニケーションしているシーンの写真 「バー・イン・ザ・ダーク」 目隠しをして会話やお酒を楽しむ。普段目から得る情報を省いて純粋に味覚や嗅覚だけで感じるお酒の味はまた格別でした。 写真:暗闇でお酒を飲み、コミュニケーションを楽しむシーンの写真 「スナック底土」  二人の車いすユーザーがマスターとなり、手でカップをうまく持てないときのストローで飲む方法を紹介し、みんなでストローでビールを飲むというなかなか普段の生活ではできない体験を楽しみました。 写真:ストローでビールを飲んでいるシーンの写真   【13ページ】 7.ユニバーサルスポーツ プログラムのねらい 参加者それぞれの特性を活かしたスポーツのルールをつくったり、工夫したりしながら一緒に体を動かして楽しめるスポーツを体験する。   レポート ペタンク ペタンクとは、鉄球をどれだけ標的に近づけられるかを競うスポーツです。 基本のルールはありますが、参加者の特性に合わせてルールを変更し、ユニバーサルスポーツとして楽しみました。 特に今年はみんなが目をつぶって見えない体験をしながら、仲間の拍手で方向や距離を測り、球を投げる光景もありました。 各班が一致団結し、熱の入った試合状況で大変盛り上がりました。特性に関係なく、一緒にユニバーサルスポーツの楽しさを体験できました。 朝のユニバーサルウォーキング キャンプ場から海まで、様々な特性の人と一緒に歩いてみることで、サポートやコミュニケーションの方法など特性を理解し、気づきを得ることができました。参加した方々は八丈島の気持ち良い朝の風を感じ、清々しい笑顔でした。   <13ページの写真の説明> ユニバーサルスポーツの様子を写した写真が5枚あります。 ペタンクで、他の班との対決で真剣に盛り上がるシーンの写真、 ペタンクで視覚障がいの参加者が鉄球を投げるシーンの写真、 ユニバーサルウォーキングで、見えない人をサポートしながら歩くシーンの写真、 ユニバーサルウォーキングで、電動車椅子の方が普通の車椅子の参加者を牽引するように、歩いているシーンの写真、 集合写真。   【14ページ】8.振り返り  プログラムのねらい キャンプでの体験を振り返り、各自の気づきを班内で共有するとともに、他の班の気づきも共有し、これからその気づきをどう活かすのかを考え、今後の行動につなげる。    レポート キャンプ初日に各班では、初めて会ったメンバーと話し合いながら班名を決め、その思いを込めたフラッグをつくりました。このフラッグに、様々なプログラムや体験を通じて気づきを得るたびに、各自で少しずつ書き込むことで、3日目の最終日には素晴らしい「気づきフラッグ」となりました。  お互いに書き込んだ内容を班内で共有し、班ごとに前に出て、どんな気づきを得られたか発表を行いました。発表を聞き、他の班の気づきを共有することにより、そこからまた新たな気づきを得られました。  <14ページの写真の説明> 1班から10班までのフラッグと集合写真が10枚が掲載されています。 【15ページ】9.コラム  情報保障  今年のキャンプでは手話通訳に加えて、文字情報を必要とする参加者のために音声を文字化するスマートフォンアプリを紹介しました。 ある特定のツールでは無く各自が既に使用している使い慣れたアプリを使うことでスムーズなコミュニケーションが班の中で出来たと思います。 これをきっかけに各自が使っている様々な情報保障ツールを紹介し合う場面もありました。 要約筆記に関しては全ての班が経験することができ、話し言葉を文字にすることの難しさと必要性を体験しました。 様々なツールを使い、キャンプ最終日にアプリ、ホワイトボードなど人それぞれにあった情報保障ツールを使いこなしていました。 見えない方に向けては例年通りキャンプ場にガイドロープを設け、またキャンプ場のトイレやシャワーの位置など理解しやすいように触地図を用意しました。 写真:触地図を持っているスタッフ キッチン 献立は八丈島の食材(海風しいたけ、海風きくらげ)を活かすよう考えました。また、気温・天候によって参加者の皆さんの食欲や水分摂取量が大きく変わるので、提供する食事量や飲み物の量の調整に配慮しました。本年は天候にも恵まれたためか、例年よりも皆さんの食欲は旺盛だと感じました。 キャンプ期間中は、八丈島の方から食材や調理器具を提供いただいたほか、ご飯の炊き出しや調理のお手伝いにも入って頂くなど、キャンプ運営に強力なサポートをしていただきました。 写真:笑顔でご飯を食べる参加者    設営  今年はグループワークサイトのテント側面にヨシズを張ってみました。例年午後の日差しが暑く、西側の班はとても暑かったと思います。今年は天候に恵まれたこともあり、より日差しが強かったため、ヨシズが日陰をつくり、快適にグループワークできるよう、工夫しました。  そして、閉村式後の撤営作業は多くの参加者と八丈島の皆さんの力で素早くできました。使用したキャンプ場や道具をきれいにすることは次のユニバーサルキャンプを開催しやすくなる取り組みの一つです。体力に自信がない方や目の見えない方には使用した道具をきれいに洗っていただくなど、参加者の特性にあった役割分担を行い、撤収作業にも多くの新しい気づき得られました。 写真:テントの片付けをする、車椅子の参加者(膝にたたんだテントを乗せて移動しているところ)   【16ページ】 企業研修プログラム実施報告 1.事前研修 プログラムのねらい キャンプ研修での実践、学びをより充実させるための準備プロセスとして、ダイバーシティについての基本的な考え方、 多様な人材の力を引き出す支援型リーダーシップの考え方を講義で学び、多様な講師陣との対話プログラムをワークショップ形式で行う。   レポート 最初に「ユニバーサルキャンプ in 八丈島」の趣旨説明、ダイバーシティと支援型リーダーシップに関する講義が行われました。 その後、職場や仕事におけるダイバーシティの現状と課題の把握、自己の特性を振り返るワークなどを行ないました。  昼食時には、視覚障がいの食事とサポート体験を行いました。 その後、様々な障がいのある講師や外国人の講師から話を聞いたり、 サポートを体験したりするコミュニケーションプログラム「ルーム・オブ・ダイバーシティ」により、 様々な特性について理解を深め、多様なメンバーとの協働に必要な工夫や配慮を学びました。 コミュニケーションの方法を事前に学べたことで、キャンプへの不安が解消し、より楽しみになったようでした。 最後にキャンプ研修での具体的な行動目標を受講者一人ひとりが考え相互に共有し、事前研修を締めくくりました。    <16ページの写真の説明> 事前研修の様子を写した写真が4枚あります。 グループで対話し、職場や仕事の課題を共有しているシーンの写真、 車椅子のサポートを実習している写真、 ワーク1の気づきをふせんに張り出している写真、 集合写真。   【17ページ】 2.キャンプ研修 プログラムのねらい 事前研修での学びを活かし、自ら定めた行動目標を実践する。 多様な参加者と様々なプログラムを共に体験し、またグループ活動ではリーダーとなりグループをまとめていく。     レポート 1日目、2日目の夜に、その日の振り返りを行います。 支援型リーダーシップの実践について、事前研修で定めた行動目標に沿って“できたこと・できなかったこと”を振り返るとともに、気づきや感じたことを企業研修参加者同士で共有しました。 一人ひとりが自身のことを振り返り、それを言葉にして相手に伝えること、対話を通じて、理解や意識が一層深まります。また、お互いの経験・気づきから、次の日に何にどう取り組んでみるかを考え、よりよい実践につなげました。   <17ページの写真の説明> キャンプ中の振り返りの様子を写した写真が4枚あります。 夕食後、マーキーテントの下、研修参加者が集っているシーンの写真、 1日を振り返り、気づきや感じたことを書き起こしている研修参加者の写真が3枚。 【18ページ】 3.事後研修 プログラムのねらい 事前研修、キャンプ研修を通じて得た気づきを出し合い、他者の視点を共有することで学びを深める。 また研修の集大成として、キャンプでの体験、気づきをこれからの実務に活かすためのワークショップを行う。   レポート 参加者はキャンプ以来約ひと月ぶりの再会でしたが、お互い懐かしい友に会ったような笑顔であいさつし、和やかなムードの中で研修が始まりました。  最初は、キャンプでの自身の体験を振り返り、相互に感想や気づきを出しあうグループワーク。 「ダイバーシティの向こうにまたダイバーシティがあった」「誰もが違って当たりまえということを自然に受け入れられた」等、お互いの気づきが共有されました。その後は、ケースに基づいて支援型リーダーシップの実践についてグループ討議。午後は、ブラインドスクエアのアクティビティを通じて、チームビルディングの実践、伝えることや周囲への配慮のしかたの難しさを実感し、自身のふるまいにおける課題をそれぞれに発見しました。そして最後は、体験を仕事に活かすワークショップ。自身の仕事、職場における課題に目を向け、明日から具体的にどのようなアクションを起こすかをまとめ、グループ内で共有しました。最後に今後自分が何をするかを1人ずつ宣言して、企業研修プログラムは終了しました。   <18ページの写真の説明> 事後研修の様子を写した写真が4枚あります。 グループごとに模造紙を手に発表しているシーンの写真、 キャンプ研修での気づきを出し合い整理しているシーンの写真、 研修参加者が、キャンプ参加者の気づきが書かれたフラッグを見返しているシーンの写真、 研修参加者が、苦労しながらブラインドスクエアに取り組んでいるシーンの写真    【19ページ】参加者の声  キャンプアンケート   キャンプ参加者にアンケートに回答していただきました。回答結果を円グラフで表しています。 ・キャンプ全体を通していかがでしたか? すごく良かった75.6パーセント、良かった22.0パーセント、まあまあ2.4パーセント ・プログラムの量はいかがでしたか? 良かった58.3パーセント、まあまあ25.0パーセント、多かった16.7パーセント  ・キャンプの印象を教えてください。 楽しかった86.3パーセント、物足りない3.6パーセント、すごく疲れた5.4パーセント、その他3.6パーセント、無回答1.2パーセント ・また参加したいと思いますか? 思う90.5パーセント、わからない9.5パーセント 参加者のコメント(原文のまま記載) ・行けないBarがあって残念だった。来年行きます。 ・心地よい疲労感 ・良い取組なので、毎年継続してほしい。 ・多くの方々とお話しをすることができました。 ・ユニキッチン、ちょんこめさんとご一緒できてうれしかったです。 ・年上の方とこんなに楽しく自由に話せたのは初めてでした!とってもとっても楽しかったです! ・今回も楽しませながら学びました。ありがとうございました。 【20ページ】 企業研修プログラムアンケート 研修プログラム受講者にアンケートに回答していただきました。回答結果を円グラフで表しています。 本研修は、総合的に見て有意義なプログラムでしたか。  事前研修 とてもそう思う74.0パーセント、そう思う20.0パーセント、ふつう3.0% 、無回答3.0% キャンプ、事後研修 とてもそう思う68.0パーセント、そう思う28.0パーセント、無回答4.0% 参加者のコメント(原文のまま記載) ・キャンプだけでなく事前、事後研修がある事が良かった。キャンプに理解して臨むこともできたし、キャンプ後の1か月後に振り返る事もできて良かったです。5日間本当にお世話になりました。 ・普段、中々出会うことができない人たちと日常以上に不便な生活を送ることで、得ることはとても大きく、とても貴重な時間でした。研修はとても学ぶことが多いけれど、体験しながら学べたので良かったです。一人一人違うのがあたり前、できる、できないよりも挑戦する姿勢が大切。 ・ユニキャンの1か月後に行ったことで、忘れていたことなどを思い出せて良かったです。また、この研修を通して、改めて支援型リーダーの大切さ、難しさを感じました。今後は社内や知人に今回の体験や感じたことを伝えていきたいです。 ・縄のアクティビティは、色んな気づきを得られる内容でした。ケーススタディでは、様々な立場の方について考えることができたと共に、自分と違う意見が沢山聞けてよかったです。 ・「ケース」と「ブラインドスクエア」をとおし、自分の考えだけにとどめず、他の人々の考えを聞くことで、新しい発想を得ることができた。自分のリーダーシップのとり方、「あまり出しゃばってもよくない」と思ってしまうことの良い点悪い点を知ることができた。 ・新しい視点で多様性の理解ができた。UDの設計的問題点の抽出ができた。 ・5日間大変お世話になりました。八丈島空港、飛行機、羽田での障がいのある方のお手伝いが大変でした。キャンプ場で少しは出来る様になったと思っていましたが、まだまだです。今後も行動、意識を継続していきたいです。 ・もっと班以外の人とも関わりたかった。 ・出来ていない自分を改めて感じました。それに気づいた事が今後大きな財産になると思いますし、忘れずに活かしていきたいと思います。 【21ページ】感謝の思い 今年も本当に多くの方々のお力添えにより、ユニバーサルキャンプを運営できました。 心より感謝申し上げます。 来年もまた、八丈島で会いましょう。 <写真>7枚あります。 八丈太鼓を教える婦人会の方、 郷土料理を教える婦人会の方、 ユニ盆で盆踊りを踊る婦人会の方、 ユニ盆でさんさ踊りを踊るちょんこめさん、 開村式であいさつ中の八丈町長の山下さん、 開村式であいさつ中の八丈役場の皆様、空港で「八丈島へ来ていただきありがとうございます」の横断幕を掲げる役場の皆様。   【最終ページ】 NPO ユニバーサルイベント協会  〒108-0075 東京都港区港南2丁目12番27号イケダヤ品川ビル3F TEL 03-5460-8858 FAX 03-5460-0240  E-mail info@u-event.jp URL http://u-event.jp Facebook http://www.facebook.com/uevent.jp NPOユニバーサルイベント協会は、誰もが安全、安心、快適に楽しく参加できるユニバーサルイベントを、多様な能力や特性をもったメンバーと一緒に企画、運営しているNPOです。ユニバーサルイベントの企画、運営や、企業向けの体験型ワークショップ研修を通じて、誰もが力を発揮し、いきいきとした生活を送ることができる社会づくりに貢献しています。 発行・編集:NPOユニバーサルイベント協会 デザイン:株式会社ZUGA 発行年月:2017年11月 UDフォント ユニバーサルデザインの考えに基づいた見やすいデザインの文字を採用しています。 以上、第13回ユニバーサルキャンプ in 八丈島報告書、終わり。