第5回ユニバーサルキャンプ in 八丈島報告書 2009.9.12 〜 9.14 全員の集合写真 八丈富士をバックに参加者、約150人が勢揃いしています。 2009 年10月 特定非営利活動法人(NPO) ユニバーサルイベント協会 感謝 ユニバーサルキャンプは、多くの方々のお力添えにより実現しました。 【後援】 国際ユニヴァーサルデザイン協議会 社団法人日本イベント産業振興協会 一般社団法人日本イベントプロデュース協会 公益社団法人日本フィランソロピー協会 【研修協賛】 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 株式会社ゼネラルパートナーズ 東日本トランスポーテック株式会社 富士通デザイン株式会社 早稲田システム開発株式会社 【協賛】 株式会社一ノ蔵 大塚製薬株式会社 キッコーマン株式会社 協和発酵キリン株式会社 キリンビール株式会社 コクヨ株式会社 コンテンツ株式会社 株式会社三恵社 JESCOホールディングス株式会社 株式会社シナノ ジャパンデータコム株式会社 株式会社ジュジュ化粧品 菅野 晃 株式会社スニード セントラル電子制御株式会社 DBA(デザイン・ブレーン・アソシエイツ) 株式会社電通パブリックリレーションズ 有限会社動画堂 東京海上日動火災保険株式会社 東京キリンビバレッジサービス株式会社 東京通信電設株式会社 日本通運株式会社 ハウス食品株式会社 ヤマト運輸株式会社 株式会社リベルタス・コンサルティング 【協力】 NPO 江戸川手話通訳者協会 えほんをよむ実行委員会 株式会社JTB首都圏 ちょんこめ作業所 NPO ニュースタート事務局 八丈町の皆さん ピアサポート株式会社 NPO 野外活動教育振興会 【共催】 東京都八丈島八丈町 株式会社丹青社 株式会社UDジャパン 【主 催】 NPO ユニバーサルイベント協会 ※ 敬称略、50 音順とさせていただきました。 ユニバーサルキャンプ開催の意図 ユニバーサルキャンプは、ダイバーシティ(Diversity=多様性、すべての人が含まれる)の考え方に立ち、年齢や障がいの有無にかかわらず、参加者へ、そして社会全体へ向けて、「みんなが一緒に活き活き暮らせる社会」への意識を喚起し、行動を身につけることによってユニバーサル環境の普及をめざしています。 そのため、豊かな自然の中で、キャンプという日常生活より少し不便な環境を味わいながら、誰もがそれぞれできることとできないことがあることに気づき、お互いに対等な関係で協力しながらサポートし合うという経験を通して、一人ひとりが尊厳をもつ対等な関係としての自立・自律をめざすとともに、その輪を広げていきたいと考えて実行しています。 ユニバーサルキャンプの概要 開催日程 2009 年9 月12 日(土)〜 14 日(月) 開催場所 八丈島 底土キャンプ場・その他 参加者数 142 名=企業研修参加者、一般参加者、スタッフ、24 名=八丈島ちょんこめ作業所、総勢166 名、ユニボン参加者、八丈島の方々約50 名、ユニボン総勢約220 名 主催 NPO ユニバーサルイベント協会 共催 東京都八丈島八丈町、株式会社丹青社、株式会社UDジャパン キャンプ運営のコンセプトとキーワード ユニバーサル環境の推進 ユニバーサル環境とは、さまざまな特性を持つ人々が年齢・性別・国籍に関係なく、その特性の違いを認め合い、共に活き活き暮らせる社会環境のことです。 *図の説明 CSR の根っこにはノーマライゼーションがある これからの企業理念には、企業の社会的責任(CSR = CorporateSocial Responsibility)を果たすという姿勢が明確に示されていることが“当たり前”になってきます。 そのCSR は、ユニバーサル環境が基本に据えられていることが大前提であり、その実現の切り口としてユニバーサルデザインの推進があるのではないかと考えています。 報告1 メインプログラム Program1 事前研修 Program2 キャンプ開始 Program3 ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション Program4 BBQ&おにぎり大会 Program5 ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション Program6 ユニボン Program7 ユニスポ Program8 閉村式 Program9 事後研修 Program1 事前研修 写真:視覚障害体験をしている参加者。 企業参加者 27 名 【日時】 2009 年8 月28 日(金)10:30 〜 18:00 【場所】 UDジャパン研修室 【講師】 内山早苗、岡村道夫、松村道生、三原毅 【進行】 飯塚佳代 【カリキュラム】 1.オリエンテーション 2.講義 3.サポートの基本と実習 4.屋外でのサポート実習 5.グループワーク 6.リーダー研修 7.まとめ 講義とサポートの基本 午前中の講義では、 ・ダイバーシティの重要性 ・現在の日本の状況 ・企業にとっての重要性 ・障がいの普遍性とダイバーシティを 理解するという内容で進めました。 また、実際に障がいを持つ講師による指導で、車いす使用者、見えない人への理解とサポートの基本を学び、午後の実習に備えました。 アイマスクでランチ 一通りサポートの基本を受けたところで、お待ちかねの昼食タイム。2人一組になってアイマスクをつけたら、「時計の文字盤になぞらえてお弁当の説明をしてみましょう」。見えない状態で感覚が研ぎ澄まされ、いつもよりおいしい…などと味わう余裕なんてありません。とにかく夢中でお弁当の中身の説明をして、食べるほうも味を確かめるのに必死! でもいつの間にか笑顔も広がり、笑い声とおしゃべりあふれるランチタイムとなりました。 屋外へ出かけ実習 午後からは、聞こえない人へのサポートの基本から。聞こえない講師による巧みな手話と伝言ゲームなどを交えながら、楽しく講義が進みます。多くの聞こえない人が参加するユニバーサルキャンプ。筆談、ジェスチャー、空書きなど、見えるコミュニケーションのコツを学びました。 そしていよいよ、車いすに乗ったり、アイマスクをつけたりしながら街へ出発。「聞いただけでは気づかないことがたくさんあった」。車いすではちょっとした段差も自力では上がれないことを、知識ではなく身体で感じました。 「正座の状態で車いすに乗ってみると足が自由にならない不安定さがわかりますよ」。歩道、橋、階段など、水辺の周辺をぐるりと回った頃には、みんな汗びっしょりです。 帰り道はすっかりのどもカラカラ! アイマスクのまま自動販売機でジュースを買うと…、「えーっと、商品名を全部説明したほうがいいのかな」。慣れていないと飲み物の種類を説明するだけでも大変です。「届かない〜!」車いすだと、欲しい飲み物のボタンに手が届きません。 どんな不便さがあり、どんなサポートをしたらいちばん良いかをコミュニケーションしながら学びました。 リーダー研修と今日一日の「気づき」 班行動が基本のキャンプでは、例年、研修参加者の方々に班のリーダーをお願いしています。 今後、日本社会で必要とされる「支援型リーダー」の説明と、キャンプでの役割などについての話がありました。 その後、今日一日での「気づき」をグループワークでまとめ、各自のキャンプでの目的を目標設定シートにまとめます。「とにかくコミュニケーションが大切」「普段の行動が“車いすに乗る”“アイマスクをつける”だけでハードルが高くなることがわかった」などなど、たくさんの気づきを共有することができました。 その後は、キャンプ参加説明会が行われ、多くの参加者との出会いが始まりました。 写真1:晴天の中、運河の横の歩道で車いす体験とサポート実習風景。 写真2:アイマスクをしてお弁当を食べる。食べる方も、説明する方も必死です。 写真3:講義をする三原講師。 Program1 事前研修、終わり Program2 キャンプ開始 もっと当たり前に誰もが活き活きと社会参加できないかなぁ……。 もっと多くの、さまざまな特性を持つ人と一緒に活動して、多様性を実感してほしい……。 その気づきを自分の生活や仕事に生かしてもらえたら……。 ユニバーサルキャンプはそんな思いから生まれました。 今年は5 回目の記念すべきキャンプです。 プログラムの流れ 1日目 ・ 開村式 ・ ダイバーシティ・きっかけ ・ コミュニケーション ・ 「語り」を聴く・見る会 ・ BBQ&おにぎり大会 ・ 夜のダイバーシティPART1 2日目 ・ ストレッチ・DE・Hula ・ 朝の集い ・ ダイバーシティ・どっぷり ・ コミュニケーション ・ 自由時間 ・ ユニバーサル盆踊り(ユニボン) ・ 夜のダイバーシティPART2 3日目 ・ ストレッチ・DE・Hula ・ 朝の集い ・ テント片付け ・ ユニバーサルスポーツ ・ 閉村式 プログラムの流れ終わり 大雨のスタート ユニバーサルキャンプ参加者一同が八丈島に着いてみるとなんと雨!しかも、かなり強い風まで吹いているではないですか!初めての参加者が多かった第5回ユニバーサルキャンプ「こんな状況下で無事にテントが張れるの……?」と不安そうな顔もちらほら……。 しかし、この状況を予想して昨日スタッフの方々でテントの設営は終了していました。スタッフの方々に感謝感謝でスタートです。 飛行機1便の参加者にはテント設営ではなく、ベッド組み立てプログラムが待っていました。心がスカッとするほどの土砂降りの中、マーキーテント内はベッドのタペストリーで飾られました。 5回目にして初めての雨。天も飽きないように趣向を変えてくれたのか。およそ150人の参加者は、天気急変のサバイバルも実は楽しみに変える力を持っていました。 写真:テントの写真 開村式 皆さんの行いが良いのか、開村式が始まる頃には雨も上がり、恒例の内山村長の挨拶から第5回ユニバーサルキャンプは始まります。司会進行は3回目の幸多朗さんと1回目の菅野さんの2人3脚。参加者142人うち30人強の聴覚障がい者という構成となった今年は、手話通訳者増強、4人体制でグループにも入らず、必要に応じて配慮できる態勢に。 昨年より約40名も増えたキャンプの運営に大奮闘していただいた八丈町観光課の課長以下6人のメンバーの挨拶を心強くお聞きしました。 まだ緊張気味ながらワクワクドキドキ顔の参加者の皆さん。今年はどんな気づきと感動、自身の変化をお土産にできるでしょう。 写真1:テントが並んでいる風景 写真2:雨が上がった後の開村式の風景。 写真3:開村式村長の挨拶。手話通訳さんも輝いています。 写真4:雨の中、カッパを着ながらベッドを組み立てる参加者。マーキーテント内はベッドのタペストリーで飾られました。 感謝の思い 今年も、たくさんの企業の方、地元八丈島の方、本当に多くの方々のお力添えにより、第5回ユニバーサルキャンプが実現いたしました。 心より感謝申しあげます。 写真:実行委員長の高橋さん Program2 キャンプ開始、終わり Program3 ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション ダイバーシティとは、多様性の享受。 つまり違いを受け入れること。 誰もが違って当たり前。 まずは、その「違い」を知りましょう。 まずは基本から 今年初の試み「ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション」。 キャンプ場を3つのエリアに分け、4班一グループになって、それぞれのエリアでサポートの基本を学びます。 先生はもちろん、障がい当事者たち。車いすで段差を越えるコツは? さぁ、アイマスクをしてペアになって歩いてみよう。 手話を使って無音の盛り上がりの中に、ひとりポツンといる気持ちって、どう? 実際に体を動かし、みんなで考えながら、少しずつ気づいていきます。 「一人ひとりに違いがある!」「ハードもソフトもバリアが多い」「目が見えないと何かに触れていたい」「状況説明にホッとした!」「ひとり会話に入れないって寂しい」「コミュニケーションってなんだろう?」 固定観念を壊そう サポートの基本を学んだら、次はアンケートクイズ大会です。 Q.次のうち、聴覚障がい者が好きなものはどれでしょう。 ・手話歌 ・カラオケ ・ダンス ・音楽は興味なし 正解は、32人の聴覚障がいを持った参加者たちに、直接聞いてみましょう。どの選択肢にも、パラパラと手が挙がる中、筑波技術大学の学生さんが、誇らしげにダンスに手を挙げます。 「わたしたちはダンスユニットを結成しています!」ろうスタッフも声を張り上げます。「ボクは手話歌が好きー!」耳が聞こえなくても、音楽好きはたくさんいるようです。 Q.全盲の人には部屋の明かりは不要? 当事者たちの意外な答えに、驚きの声があがります。「僕らは、家に帰ると電気をつけます。暗い中でゴソゴソ音がしたら、ご近所さんに大丈夫かなって思われるじゃないですか(笑)v 最後は、障がい者スポーツについて。キャッチボールを見せてくれたのは、障がい者野球で活躍する脳性マヒの男性です。「ボクは上投げはできないけど」と、アンダースローで見事な投球を披露してくれました。「配慮をしているのは常に『健常者』側だと思い込んでいた!」「皆さん、それぞれの生活を『普通』に営んでいる」 「『違い』って特別なことなんかじゃないんですね」 写真1:アイマスクをつけてペアになって歩いてみよう。視覚のエリアの風景。 写真2:海をバックにアンケートクイズ大会。 写真3:車いすの男性の移動をサポート。キャンプ場では車いすは押しにくい?! 写真4:車いすのサポートの基本を講師がレクチャー。聞いているみんなの顔が真剣です。 写真5:要約筆記をしている様子。この時は、聴覚に障害のある学生さんが要約筆記に挑戦! 写真6:真剣な顔で話を聴き入る参加者。 Program3 ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション、終わり Program4 BBQ &おにぎり大会 写真:真っ赤に燃えるコンロの炭火 キャンプの醍醐味、バーベキューの始まり。 チームの強力な接着剤となる恒例の夕食づくり。 ちょんこめさんも参加して160人以上の熱気で雨も遠慮気味のよう。 まずは手洗いの指導から 新型インフルエンザ撃退の手洗いの仕方を小学生のように全員で習い、実施しました。指と指しっかりこすり合わせ爪の間もキチンと洗います。そして最後は、”ハンカチやタオルで手を拭いてはいけません! " 全員、テレビドラマの医師のように手をかざして、さー、おにぎりづくりです。 写真:手を洗う参加者。真剣な顔で指と指をしっかりこすり合わせています。えらい!! マーキーテントでBBQ 全員でおにぎりを握ったら、BBQ会場(八丈興発)へ移動し、地元の方にお借りしたお手製BBQコンロを囲んで、のんびりとBBQ♪、という当初の予定は、初日のプログラムが不安定な天候に押しに押されたこともあり、変更を余儀なくされました。 BBQ会場への移動は中止となり、雨に備えて1カ所に集められたコンロには、スタッフが準備した炭火がすでに真っ赤で、今が焼き頃。ちょっと?いや、かなり「巻き」でよろしくお願いしまーす! 今日会ったばかりの仲間たち。でも、誰が何をする? 味付けは? 切る大きさは?なんて、モジモジしている時間はありません。見えない人が、巨大な肉のブロックをガンガン切り始め、おおー!と歓声があがります。時間がなくても、イカのはらわたはもちろん捨てられません。そうこうしているうちに、なんだかチームワークが芽生えてくるから不思議です。 おにぎりチーム、材料刻みチーム、焼きチームなど10〜12人のメンバーがそれぞれに役割を担い、我が班一番と熱気に燃えたBBQ大会が展開されたのでした。 写真1:切った野菜やお肉、イカを焼いている 写真2:巨大なお肉のブロック、キャベツ、ネギ、カボチャなど、おいしそうな食材 写真3:食材の前で、笑顔ではいチーズ! 写真4:おにぎりをほおばる女子2人。おいしそう。 写真5:タマネギを切る全盲の松村さん。タマネギってしみるの? 言われなくてもゴミゼロ ユニキャンも5回目。言われなくても全部腹の中へ。にんじん、ジャガイモの皮はたわしでこすってむかない。タマネギの皮は? そう、炭火の中に。もちろん最高においしいイカのはらわたは、各班腕の見せ所。ビールがないのに気づく暇もなく、全員おにぎりを ほおばり、肉に食らいつき、野菜おいしい!の笑顔、笑顔。数時間前に初めて会った仲間とは信じられない空間の出現。これぞユニキャンなのです。それにしてもイカのはらわたの焼き味噌のおいしかったこと! 心を開くきっかけづくり 一緒につくり一緒に食べる。これぞ原点。特性の違いを超えて笑顔満開の右往左往のBBQ大会でした。 Program4 BBQ &おにぎり大会、終わり Program5 ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション 写真:タープテントの下で今からどんな話が聞けるかワクワクしている参加者の様子 聴きたいこと何でも聴いてしまいましょう! 多様性を受け入れて、他者との違いに触れたとき、参加者は何を発見するでしょう。 違いからの発見 ダイバーシティとは、多様性の享受。誰もが違う、誰もが何かを持っている、みんな違うのだから、障がいも特別なことではない……。 そんな観点から、他者との違いを知り、その能力に気づき、コミュニケーションや行動を工夫するきっかけをつくる。 音・光・動き・関わり・八丈・UD・ユニスポ、それぞれ名前のついた7つの部屋で、見えない人、聞こえない人、手足の動きに不便さのある人、八丈島で暮らす人など、さまざまな特性を持つ主人が待つテントの下で、今年もたくさんのドラマが生まれます。 障がいを持つ人に、その障がいのことを聞いたら失礼だと思いますか? けれど、互いをわかっていなければ、心から関わることはできません。 「聴きたかったこと何でも聴いちゃえ! 一人ひとりみんな違う。その違いが面白い」。そう思えたとき、初めて相手を尊重し、思い込みのない、きちんとお互いの立場を認めながらのコミュニケーションができるようになるのではないでしょうか。 そして、商品やサービスシステムに従来とは全く違う発想ができ、新たなイノベーションが生まれるのではないかと思います。 7つの部屋 南原スポーツ公園の広くてきれいな芝生の広場に、オレンジのタープテントが7つ、はためいています。これからこのテントの下で、さまざまなドラマが生まれます。 昨日までの雨がウソのように晴れ渡った気持ちのいい青空。どんな話が聴けるのかワクワクした参加者の顔がありました。 今年のテーマ まずは、進行役のアダムさんのスピーチ。「人は誰でも何かを持っています。そして、いつでも新しい体験を重ねています。その経験や体験を教えてもらうことはとても素敵なことです。私は、今年友人を亡くしました。とても大切な友人で、また突然のことでした。その友人からまだまだいろんな経験談や体験談を聴きたいと思っていました。もっといろんな話をしたいとも思っていました。でも、もうできません。皆さんは聴ける時に聴いておきましょう。今年のテーマは、『先生』。そして、『今を生きる』です」。 飾らない言葉でのコミュニケーション 訪問者たちは一斉に各部屋へと向かい、グループごとに3時間かけて、7つの部屋を回ります。 部屋では、まず主人の話を聴き、そしてなんでも質疑応答していきます。自分のこと、同じ障がいを持つ友人のこと、日々の暮らし、悩み、などなど。話を聴いていると、ひと口に障がいといっても、状態もニーズも考え方もさまざまだということを実感します。 大自然の中で語られる当事者たちの飾らない言葉は、来訪者の胸にしみていきます。 暑い中、長時間でも「時間が足りなかった!」の声が多いダイバーシティ・コミュニケーション。これからもキャンプの目玉として、毎年変わらず、でも進化しながら進めていきたいと考えています。 写真1:昨日までの雨がうそのよう。晴れ渡った青空のもと参加者が南原スポーツ公園に集まります。 写真2:タープテントの下で話を聞く参加者 写真3:ダイバーシティコミュニケーション開会式、進行役のアダムさんのスピーチ 写真4:アダムさんのスピーチを聞く参加者 ダイバーシティ・コミュニケーション 音の部屋 コミュニケーションとは…… ●音の部屋 聴覚障がいの方の話を聴く部屋。 戦時中手話が禁止された話、ろう学校の話、会社でのコミュニケーション、手話取得における脳の動き、アッシャーシンドロームとは? ろう学生さんの軌跡と夢……。 主人は手話で語り、手話通訳者が日本語に訳し、来訪者は身振り手振りで質問をする。 「コミュニケーションってなんだろう?」 皆、この時間、この空間を、共感・共有しようと一生懸命でした。 写真1:デフ・パペットシアター榎本トオルさんが話す様子 写真2:部屋の主人に聞き入る参加者 写真3:部屋の主人、ホワイトボードを使って参加者とコミュニケーション ●UDの部屋 ダイバーシティ・コミュニケーション ユニバーサルデザインの可能性を知る 今年新設のUDの部屋。UDの先駆者や、障がい者雇用に尽力されている方などが主人です。 UDとは、すべての人が特性の違いにかかわらず、一緒に利用できる安全で快適なモノ・建物・空間・サービスをデザインするという考え方です。 もちろん、形あるものだけではなく、その活動や考え方も含まれます。 知的障がい者の雇用と能力開発に工夫と改善を語ってくれた特例子会社社長。 「わたしはこのTシャツに描かれている文字がわかりません」。カラーUDの普及活動をしている男性が色覚障がいについて語ってくれました。 写真1:色覚検査表のプリントされているTシャツを掲げる部屋の主人 写真2:主人として語るアダムさん ●光の部屋 ダイバーシティ・コミュニケーション 発想の違いに興味津々 視覚障がいの方の話を聴く部屋。 道に敷かれた黄色いデコボコの点字(視覚障がい者誘導用)ブロック。 「ボクはあまり使いません。それよりも音や風を頼りにしています」という全盲のプログラマー、松村さん。音や風の流れを頼りに道を歩くという発想と感覚に皆驚愕! 「盲学校に入るまで、目が見えないということに気づきませんでした」という兵藤さん。自前の点字電子手帳には、皆興味津々でした。 プロの語り部川島さんは、「視力を失う前は絵が大好きな少女でした。今は『語り』と出会い、心の中にたくさんの絵を描いています」。 写真1:光の部屋の様子。芝生の上に裸足で気持ちよさそう ●動きの部屋 ダイバーシティ・コミュニケーション 動きの部屋 本当のバリアフリーてなんだろう 車いす使用者や手足にマヒのある人など、肢体に不便さのある人の話を聴く部屋。UDトイレが無いときの工夫など、普段なかなか聞けない話もここではOK。 交通事故で車いす使用者となった女性。「着易さも大事だけれど、私はオシャレ優先」。 骨の病気で車いすに乗っている男性は「家にはいすがたくさん。お皿洗いも高めのいすに移って普通にやりますよ」。 給与差別の経験を語ってくれた脳性マヒの男性は、休みの日にはスクーターや車を乗り回し、写真撮影に出かける行動派なのだとか。 写真1:笑顔で話す部屋の主人。 写真2:部屋の主人として話をする女性。 ●八丈の部屋 ダイバーシティ・コミュニケーション 八丈島を知りたい! 八丈島の方々に支えられて無事第5回を迎えることができたユニバーサルキャンプ。八丈島の歴史や文化について島の方々に、語ってもらう部屋。 ダイビングや山のガイドをされている方や、歴史に詳しい方などにお話をうかがいました。 写真:八丈島でガイドをしている女性、頭に赤いハイビスカス、赤いハワイアンの服装でとってもかわいい。 ●ユニスポの部屋 ダイバーシティ・コミュニケーション ユニスポって楽しい! この部屋では、次の日に、本格的に行うユニバーサルスポーツについての説明が行われました。今年は「ペタンク」。ルールや楽しみ方などをユニスポ委員会の東海さんからうかがい、八丈島のペタンク愛好家の方も交じり、ペタンクの楽しみ方を教わりました。 写真:ユニスポの部屋で東海さんが説明している様子 ダイバーシティ・コミュニケーション 関わりの部屋 みんな個性を持った生き方がある 環境、立場、年齢や性別、人それぞれ個性を持った生き方がある。 そんないろいろな人と関わる部屋。 発達障がいのお子さんを持ち、お仕事と子育てに奮闘しているお話。ご主人の暴力からやっと抜け出したという女性の話。 排気ガスの怖さを身をもって体験した経験を生かし、今は環境活動をしている元プロレーサーの話、などなど。 「実は自分も……」と来訪者たちも話し始め、話が尽きることがありませんでした。 自分の中に問題を見つけ、自ら変えようという積極的な行動力の大切さを感じることができた部屋でした。 写真1:真剣に話に聴き入る参加者 写真2:関わりの部屋のテントの様子 Program5 ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション、終わり Program6 ユニボン 写真1:婦人会の方の八丈太鼓 写真2:満面の笑みで拍手をする協会理事松平さん 地元八丈島を丸ごと味わおう! 参加者と地元の方が一緒に輪になる大交流大会。 郷土料理や屋台料理に舌鼓。 みんな一緒に歌って、踊って、笑い合う。 八丈島を凝縮したような濃い時間です。 八丈島の魅力が盛りだくさん 島文化、食べ物、お酒、温かい皆様……、数えきれない魅力にあふれる八丈島。ユニバーサルキャンプを開催するにあたって八丈島の方々の協力は必要不可欠です。「キャンプ参加者と地元の方との交流を深め、八丈島の特産品をいっぱい味わえる場が欲しい」。今年も八丈島の方々といっしょに盆踊りで交流を深める、ユニーバーサル盆踊り、略してユニボンが開催されました。 会場入り口に設営された屋台では、大賀郷婦人会の皆様、朝市会の皆様、ちょんこめ作業所の皆様にご協力いただき、たくさんの出店が並びます。中でも島寿司は大人気! 長い列ができていました。 「ちょんこめさんの屋台もかわいいよ」。ちょんこめ作業所の皆さんが描いたイラストがキュートなTシャツや手作り手ぬぐいなど、ぬくもり感じる雑貨類も充実していました。 踊れや歌えの大ユニボンDANCE! メイン会場では、ちょんこめさんの「さんさ踊り」でユニバーサル盆踊りが華々しくスタート。迫力ある踊りは何度見ても胸が熱くなります。そして、地元婦人会の皆様、加茂川会の皆様が、浴衣や黄八丈の帯のとても素敵な衣装であでやかに登場。「八丈太鼓の演奏」「八丈音頭」「しっちょいさ」「なじょまま」「おいとこ」を踊ってくださいました。おなじみの「東京音頭」や「炭坑節」が始まると、見ているだけでなく、いつしかみんなも輪に入り、会場は大盆踊り大会状態に! お皿を2枚持ってカチカチと鳴らしながら踊る「皿踊り」にはみんなも興味津々。使い方を教わりながら、笑顔いっぱいで楽しみました。 続いては八丈島のフラダンスチーム「カウルレフア」が登場。南国の華やかな衣装と素敵な笑顔のフラダンスチームに、会場もうっとり。フラダンスは一つひとつの動きが手話だということもあり、みんな真剣に?見入っていました。 最後にちょんこめさんに手話を教えてもらい全員で「見上げてごらん夜の星を」を歌いました。温かい歌声、心がこもった手話。手や指で表現されていく歌詞の内容が、普段の耳から聞くものとは違った美しさがあり、盆踊りの熱気とは別の感動がありました。実際にその夜の八丈島の星はとてもきれいで、いつまでも見上げていたくなるような夜空でした。 写真1:ちょんこめさんのさんさ踊り 写真2:みんなで輪になって炭坑節 写真3:車いすの女性も楽しそうに炭坑節を踊ります。 手話による「PC要約筆記」 ユニキャンでは手話よりも文字情報を必要としている聞こえない人に対し、パソコンによる要約筆記が行われています。ユニボンの時間は、筑波技術大学に通う聴覚障がいの学生さんが「私もやります!」と要約筆記にチャレンジ。 「聞こえないのにどうやって内容を把握するの?」 それは手話通訳から情報を読み取るのです。さらに班のメンバーが、読みきれない表現をすかさず隣でサポート。「聞こえなくても情報が入れば要約筆記もできる。何でもできる!」 ユニボン会場の片隅で、新たな気づきと大きな自信が生まれた瞬間でした。 「おしゃれなカメレオン」 今年のユニボンでは、地元の方々に感謝の気持ちをこめて、ユニキャン参加者による朗読劇の発表を行いました。これは、参加者の南雲さんがシナリオを書いた「おしゃれなカメレオン」に、かわいい絵本のスライドを映し出し朗読するという「えほんをよむ」という企画です。 避難した公民館で深夜に行われた稽古。出演者は車いす、聞こえない人、見えない人、脳性マヒの方などを含む、個性あふれる12人。お話は登場する動物たちの音も表現しながら進むのですが、みんなで「トラは強そうな音」「キリンはながーい首を表そうよ!」など、アイデアを出しながら進めた作業は大変楽しく、本番で絵が止まるハプニングも良い思い出になりました。 写真:「おしゃれなカメレオン」メンバーで集合写真ハイチーズ! Program6 ユニボン、終わり Program7 ユニスポ 写真:ペタンクのボールを投げている瞬間の女性 みんなの個性が光るユニバーサルスポーツ。 今年は、フランスで国民的スポーツとして人気な「ペタンク」にみんなでチャレンジ! 最終日はユニスポ! 最終日の八丈島の朝。空気はひんやりしているのに、太陽の光が肌に刺す感覚は、東京都内とは違う南国らしさがありました。そして今日はすべての締めくくり、3日間でためこんだ気づきを出し合い、ユニバーサル・スポーツを楽しみます。 ユニバーサルスポーツとは、障がいや年齢にとらわれず、そこにいる誰もが一緒に楽しめるスポーツです。例えば野球も、サッカーも、公式のルールにとらわれず、経験によるレベルの差も関係なく、メンバーが平等に楽しめるように、新しいルールをつくったり、得点方法を変更すれば、どんなスポーツも、ユニバーサルスポーツになるのです。 今年は、ペタンクに挑戦しました。 ペタンクをみんなで工夫 ペタンクとは、鉄球をどれだけ標的に近づけられるかを競うスポーツで、さまざまな特性を持っている人もできるため、ユニバーサルスポーツとして今年のキャンプで行うことにしました。 たしかに小さいスペースでもできるし、障がいを持っていても、スポーツが苦手な人でも、すぐに楽しめる簡明さがありました。そして、標的そのものを動かしてもよい点は、大逆転のチャンスも生み出し、試合をさらに盛り上げます。八丈島のペタンク愛好家の方々も輪に加わり、ペタンクがスタート! メンバーの特性を考えながら、みんなで一緒に楽しめるペタンクを考えます。ユニキャンルールで、チームに最低2人はアイマスクをつけて競技することが伝えられました。見えない人にはどうやって距離や投げる角度を伝えよう。あらためてさまざまな特性を考えるきっかけになります。マグネットで作った標的と鉄球のミニチュア版を触ってもらったり、実際に歩数で距離を感じてもらったり。 「見えない状態でメンバーのアドバイスに従ったほうが的確に投げられた!」「集中したから感性が研ぎ澄まされた」なんて声も聞こえてきました。中には、聞こえない人がアイマスクをして盲ろう状態で試合に挑むチームも。触手話やサインでサポートしながら、見事、標的に近づいた時には大拍手!体をたたき合いながら喜んでいました。 また、投げることが苦手な人がいるチームでは、距離を縮めたり、投げ方そのものを変更してみたり……。班ごとにさまざまな工夫と楽しさが生まれ、どんどんユニバーサルスポーツになるペタンク。 そしてこのユニバーサル・ペタンクの楽しさの真髄は、ゲームの過程でどれだけメンバーとコミュニケーションをとることができたか。みんなと一緒に、楽しめるようにユニバーサル化を進めると、必然的に必要となる会話、サポート、笑顔!出会った時よりも、はるかに柔軟に相手とコミュニケーションを楽しんでいる自分たちに気づくのです。 あっという間に、さまざまな気づきを落とし込んでこの3日間の締めくくりのプログラムが終了です。 写真1:ペタンクのボール 写真2:ルール説明の書いてあるボードを掲げています 写真3:今の対戦状況をボードと磁石で位置確認している視覚障害者の男性 写真4:プレーする車いすの男性 ユニスポ・コーディネーター誕生! ユニバーサルイベント協会で養成・認定しているユニバーサルスポーツ・コーディネーターに今年は守屋和彦さんがチャレンジ!見事認定された報告レポートを少しだけご紹介! 近年、チャリティーを目的としたウォーキングイベントが行われていますが、参加者にイベントを合わせているのではなく、イベントに参加者を合わせているという現状があります。 私はユニバーサルスポーツ・コーディネーターとして、ウォーキングの本来の姿である、すべての人が無理せず体を動かし、楽しめるスポーツとしての提案や企画をしていきたいと思っています。 一般的にウォーキングは年齢や性別、体力に応じて各自でコースを選べますが、身体的特徴に対しては様々な配慮が必要です。例えば、急な坂道、交通量の多いコースは避ける、点字のプログラム、地図、チェックポイントを提供するなど、様々な配慮や気配りを企画段階から行い、実施することにより「ウォーキングイベント」は「ユニバーサルウォーキングイベント」として生まれ変わり、すべての人が楽しく参加できるようになります。そして、次回にまた参加したいと思うようになると考えます。 Program7 ユニスポ、終わり Program8 閉村式 写真:気づきのファイル、班ごとに違う色、違うイラストのファイル。カラフルでキレイ! キャンプもこれで終わり… 今年もたくさんの出会いと感動、素敵な気づきが生まれました。 また来年もここ八丈島で会いましょう♪ 気づきの振り返り すべてのプログラムを終えると、振り返りの時間です。 キャンプを通じて、いま感じていることを気づきのファイルに書き込み、班のメンバーで共有します。 「みんな笑顔で楽しい!」 「相手とコミュニケーションをとることは、相手の気持ちに近づいていくこと。それを行動に生かすことが大切だと思った」 「全く知らない人、一人ひとり違う能力やキャラクターを持った人が日に日にひとつになっていくのを感じた」 「無理矢理言葉でコミュニケーションしなくても、音楽や踊りや触れることでも伝え合えると気づいた!」 「アクシデントこそチャンス」 「効率ではなく、みんなが楽しくなれるように善意全開の世界。ここが特殊なキャンプではなく、このキャンプから思いやりなどが逆に社会に広がってゆくとうれしい」 「誰でもはじめの一歩は怖い。でもそれを踏み出したら一気に打ち解けていくその瞬間を自分は確かに感じることができた」 「これまでは自分がサポートを受ける立場だと思っていた。でもこれからは、人の役に立ちたい!」 あちこちの班から気づきの言葉が声で、手話で、筆談であふれています。涙なみだの班もあり、笑顔の班もあり。素敵な出会いがあって、気づきが生まれることをそれぞれかみしめ、八丈島の最後の時間を過ごしていました。 閉村式 第5回ユニバーサルキャンプ、2泊3日の全プログラムも閉村式をもって終了します。 「今年は1日目に公民館に避難というトラブルもありましたが、これにめげず、来年もぜひ八丈島へお越しください。お待ちしております!」八丈島の副町長より、力強く温かいメッセージをいただきました。 「ユニキャンは、スタッフは皆ボランティアで活動しているキャンプ。そして参加者の皆さんと共につくり上げていくキャンプです。これからもずっと、温かいご声援とご協力をお願いします」と高橋実行委員長。そして「今は別れは寂しいけれど、3日間で得た気づきを胸にしっかり受け止めて、明日、あさって、来年と、また一歩、少しでも成長した自分を実感しながら、皆さんとまたお会いしたいですよね」と内山村長。 ご協力をいただいた八丈島の皆さんに感謝、3日間お世話になった底土キャンプ場に感謝、そしてここで出会った参加者みんなにも感謝。みんなの大きな「ありがとうございました」の大合唱に合わせて、閉村式が無事に終了しました。 そしていよいよ本当にお別れ! 飛行機は1便、2便に分かれて出発します。「また会おうね」「写真絶対送ってね」「班で絶対集まろうね」 たった3日前に会ったばかりなのに、まるで何年も前からずっと仲間だったようなみんなの笑顔。そんな不思議なユニキャンムードが底土キャンプ場に広がっていました。 写真1:閉村式であいさつをする内山村長 写真2:涙なみだの別れの握手をする参加者 写真3:気づきの発表をする参加者。皆にわかるようにホワイトボードに書いて説明します。 写真4:閉村式であいさつする八丈島副町長 Program8 閉村式、終わり Program9 事後研修 写真:プレゼンテーションをする研修参加者 参加者21名 【日時】 2009 年10 月9 日(金)10 時30 分〜 17 時30 分 【場所】 UDジャパン研修室 【講師】 内山早苗 【進行】 飯塚佳代 【カリキュラム】 1. 気づきのまとめ 2. ワークショップ1 3. ワークショップ2 4. ワークショップ3 5. まとめ 気づきの共有 キャンプからちょうどひと月ぶりの仲間との再会に、和やかなムードの中で始まった事後研修。 ワークショップに入る前に、10分間のキャンプの総集編フォトムービーを鑑賞し、頭のスイッチをユニキャンモードに切り替えて、さあ研修のスタートです。 早速グループに分かれ、キャンプの感想や気づきを出し合ってまとめます。 「コミュニケーション能力が3日間で向上したと感じた!」 「サポートをする側だと思って参加したが、逆にいろいろとサポートを受けた」 「みんなフレンドリー!」 「障がいと、好きなこと・興味があることは関係ないのだと知った」 気づきを企画へ ワークショップ1 キャンプの気づきを付せんに書いて模造紙に張り、意見交換しながら、気づきをまとめていき、発表します。 ワークショップ2 企画立案のポイントについての講義の後、ワークショップ1の気づきを参考に、あったらいいな商品・サービスへの視点を考え、発表します。 ワークショップ3 企画構造図を使ってさまざまなアイデアをひとつの商品・サービスへ落とし込み、10分間のプレゼンをします。 実現のための条件を抽出したり、反対意見を想定し、対策なども考えます。すぐにでも実現できそうなサービスやシステムなど、見事な企画ができあがりました。 結果 1班 『Happy House』 多様性の共存をテーマにしたグループホーム。 キーワードは「支え合い」「生涯現役」「できることは自分で」など。 プライベートルームへは、必ずリビングを通る設計の、個々もコミュニティも大切にした新しい家族のあり方です。 2班 『トラベアー』〜誰でもひとりで自由に気ままな旅を!〜 首に掛けるクマの形をしたケータイ型の発信ロボット。困った時にメッセージを発信することで、地元の人やトラベルサポーターが声をかけてくれます。 カメラやマイク、香りの機能も備え、旅の思い出や感動を持ち帰るためのツールにもなります。 3班 『初めましての壁』 初めて会った人とのコミュニケーションにつまる……。 そんな「障がい」を解消するための、コミュニケーション能力を向上させる教育システムです。 家庭、教育機関、企業など、子どもから大人まで、カスタマイズして導入できる通信教育。 4班 『みんながつながる!!』 商品を購入する際、知りたい情報を欲しい形で取得できる携帯電話を使った新システム。 商品の内容・価格・生産者などの情報を、文字・音声・手話・触手話などに変換します。 写真1:ワークショップの様子。みんな表情が真剣です。 写真2:ポストイットを使ってキャンプの気づきを発表し、共有します。 写真3:4〜5人のグループでアイデアを出し合います。 Program9 事後研修、終わり Thank you 今年もたくさんの方のお力とご協力に支えられ、キャンプを行うことができました。ありがとうございました。 トイレ 底土キャンプ場には、ユニバーサルトイレがありませんでした。過去4回は、ポータブ ルトイレとテントを使ってUDトイレを手作りしていました。その間ずっと、東京都へ設置のお願いをくり返し……今年、待望のUDトイレが完成しました!! 今まで手作りにご協力いただいた皆さん、UDトイレ設置へご尽力いただいた皆さん、本当にありがとうございました。 写真:あたらしくなったトイレ 八丈町産業観光課の皆さん 150人の大移動、220人集まっての大盆踊り、どちらもこの方たち無くしてはありえません。 このキャンプができるのも、産業観光課の皆さんはじめ、島の皆様のご協力があってこそです。 いすやテーブル、テントをお借りしているだけでなく、キャンプ場への搬入・搬出もしていただいております。 今年も本当にお世話になりました!! ありがとうございました。 写真:開村式のときの八丈町観光課の皆さん 朝食のパン ちょんこめ作業所(八丈島の福祉作業所)のお隣にある、精神障害者共同作業所フェニックス「やまんばハウス」さんでは、作業プログラムの一環としてパンやお料理を作っているとのこと。 朝食に焼きたてパンが食べたいとお願いしたところ、なんと夜中の2時から、150人分6種類のパンを焼いてくださいました。 厳選されたこだわりの材料と愛情たっぷりの焼きたてパン。避難所ということも忘れるおいしさに自然と笑みがこぼれ、会話が弾みました。 写真:やまんばハウスの焼きたてパン。とってもおいしそう! 触地図 キャンプ場の真ん中に、全体見取り図が貼ってあったのを見ましたか? そして、それに触れてみましたか? 線が立体的に浮き上がり、文字(墨字)の代わりに点字が入った触地図。「自分の勉強にもなるから」と前述の飯島さんが作成してくださいました。 写真:触地図を触って確認する川島さん 点字のしおり 今までの第1回〜第4回ユニバーサルキャンプでは視覚障がいの方への情報保障として、“しおり”や“報告書”のテキストデータは作成していたものの、点字のものは、専門的な技術などから作成できていませんでした。 しかし、今回、 「点字のしおり、作りましょうか」と初参加の兵藤さんからのうれしいお申し出に乗っかって、5回目にして初めて、点字のしおりを作成しました。 お忙しい中、点訳データを作成してくださった兵藤さん、出力して製本してくださった筑波大学附属盲学校勤務の飯島さん、本当にありがとうございました。 ハプニング 「八丈島の9 月は台風の通り道」とは知ってはいましたが、実際は晴れ男、晴れ女ばかり集まるユニバーサルキャンプ。第1回からずっと晴天に恵まれてきたのですが、 5年目にして初めての深夜の避難経験をしました。 しかし、これまでもユニバーサルキャンプはずっと八丈町産業観光課のご協力ですべてのプログラムで雨対策の会場を確保していただいていました。今回、無事に避難できたのも、共催いただいている八丈町産業観光課の方々のおかげです。感謝の思いでいっぱいです。 また、翌日島の皆さんに会うたびに、「夕べ大丈夫だったの、心配してたの」「よかった避難できたのね」と声をかけられ、その温かさが心に染み入りました。 写真1:公民館に避難した時の様子。体育館にみんなで寝袋を引いて雑魚寝です。この珍事に写真を撮り合っている人達も…。 写真2:全員避難と書かれたのホワイトボードを掲げた進行役の柳瀬さん 伝え方いろいろ さまざまな特性を持つ人が交じり合いコミュニケーションするユニバーサルキャンプ。今年も柔軟な伝え方があちこちで生まれました。 PC 要約筆記 手話よりも文字情報を希望する聞こえない人も多くいます。今年も班ごとに時間を決めて、PC 要約筆記で伝えました。あとから読み返すと、キャンプ進行の立派な議事録になっています。 手話がわかる聞こえない人たちも、手話を読み取って要約筆記をしてくださいました。 写真:要約筆記をしている様子 触手話 今年は盲ろうの藤田さんと触手話でコミュニケーションする人が至る所で見られました。ほとんどの人が初体験の触手話。不思議なことに、恐る恐るゆっくり手を動かすより、どどんと威勢良く表現するほうが伝わっていたようです。 写真:藤田さんに触手話通訳をする飯塚さん 筆談 班でのコミュニケーションの時には、それぞれ筆談ボードを駆使して文字や絵を書きました。白いキャンバス上で名画、名言がたくさん生まれました。 手話通訳 手話通訳は誰のため?それは、聞こえない人のため、そして、手話で伝えることができない聞こえる人のため。 みんなのための手話通訳は、今年も朝から夜までフル稼働。 江戸川手話通訳者協会の皆様、ありがとうございました。 プロジェグドX プロジェグドXとは、ユニバーサルキャンプの向上を図る秘密組織です。 今年のテーマは「ガイドロープ」。 「みんなにトイレに連れていってもらうのはありがたい。でも、トイレって、一人で行きたいときもあるよね」以前、全盲の川島さんにいただいたこの声をきっかけに、見えない人も一人でトイレに行ける誘導をつくろう! と始まった大作戦です。 地面に立てた棒に腰の高さのロープを張り、トイレの前の道に沿わせました。 ロープが終わると、左側に90度向き、まっすぐ歩きます。足元の感覚が芝生に変わると、あと3歩! トイレの建物にたどり着きます。 来年もさらにバージョンアップしたガイドロープをつくる予定です。ご協力いただいた多くの皆様、ありがとうございました! 写真1:プロジェグドX一員の証しである認定証を見せる長谷川プロジェグド長 写真2:今年のガイドロープを使う川島さん。まず、ロープにそって歩きます。 写真3:次に。ロープが終ると左側に90度向き。 写真4:芝生の上を歩いて…到着!!! 報告1、終わり 報告 2 ・ お楽しみ ・ 語り ・ ストレッチ・DE・Hula ・ 夜のダイバーシティ ・ 真夏の夜のダンスショー ・ 自由時間 語り 奇跡のコラボ ユニキャン恒例の川島昭恵さんの「語り」。今年の題目は「おばあさんの花火」。舞台は海辺のキャンプ場。八丈島にぴったりのお話です。 今年はなんと、ろう役者の榎本トオルさんとのコラボが実現! 見えない川島さんが点字の台本を読み、聞こえない榎本さんがそれに合わせて手話語りを行う……。世界初の試み(?)に、参加者のみならず、お二人もドキドキわくわく。 運悪く、開始直前にパラパラと雨が降り出し、点字台本は濡れると読みにくくなるとのことで、急きょ、川島さんはテントの中で、榎本さんはその外側で、それぞれの熱い語りが始まりました。 川島さんが語り始めた途端、雨でザワザワした雰囲気がうそのように静まり、耳と目が別々の世界に引き込まれます。 「川島さんの世界に一気に引き込まれ、いつの間にかその風景や登場する人物像など、細部までイメージできた」 「榎本さんの語りはよく目にする手話とは違い、劇を見ている気持ちになるほど豊かな表現力で、魂で語っているようだった」 そして、このコラボ成功の影の立役者とも言えるのが、手話通訳者の皆さんです。 お二人の世界をつなぐ方法とタイミングを一緒になって考え、実践してくれました。 三者の伝えたいという思いがみんなに届き、大きな感動へとつながりました。 写真1:奇跡のコラボレーションの川島さんと榎本さん 写真2:川島さんの語りと、榎本さんの手話のタイミングを繋ぐ影の立役者手話通訳の皆様。ホワイトボードに物語を書いて、川島さんが読み上げるところを榎本さんにおしえています。 川島昭恵さん プロの語り部として「夢の鈴」を主催し、全国各地で語りの公演を行う。映画「津軽」に出演、第一回わたぼうし語り部コンクール入選、ルパン文芸会員など、活躍は多岐にわたる。 ユニバサールキャンプには第1回から参加。 榎本トオルさん 1991 年デフ・パペットシアター・ひとみに入団。「さくらものがたり」「ドッテテドッテテドッテテド〜賢治のトランク」「オルフェス」「はこ/ BOXES じいちゃんのオルゴール♪」「稲むらの火」他、参加出演多数。 語り、終わり ストレッチ・DE・Hula みんなでアロハ! 2日目、避難所の朝。 公民館の窓から軽やかで少し甘い南国の音が響いてきました。 フラミュージックと一緒にカラダと心をリラックスさせる『ストレッチ・DE・Hu la』の始まりです。 ユニキャン参加者の即席フラガール3人娘が前に出て、まずは、みんなで一斉に深呼吸。 吐いて、吸って……初めて尽くしの昨日の緊張を解き放ち、雑魚寝で縮こまったカラダを伸ばすと、今日の期待にウキウキしてきて、皆さんほぐれてきました! 次はフラダンスに挑戦。右へ左への簡単ステップに、余裕のある人はお尻もフリフリしていい感じです。 フラの手の動きは、手話的な意味を持っています。 波の動き、風のそよめき……動きの意味を理解して踊れば、さらに表現豊か。 見えない人にも感覚的に伝わりやすく、皆さんマスターです。 最終日の朝は、今回のキャンプをストーリーにしたフラを踊ります。 雨が降り 風が吹き荒れ 波が揺れ そして太陽が昇り…… 心をこめて、アロハ! アロハのかけ声に合わせ、両手を唇に当て、前に開いて投げキッス。 アロハとは、こんにちは、愛していますなどに加え、感謝・思いやり・共感などを表すハワイの言葉。 150人一斉のアロハは言霊となり、太陽輝く空に飛んでいきました。 写真1:これからストレッチ始めまーす!フラガールのかけ声に皆眠い眼をこすりながら、続々と集まってきます。 写真1:フラガール3人組。パレオを巻いてフラのポーズ! 写真2:朝日を浴びて気持ち良さそうにストレッチするみんな。気持ち良さそう!! ストレッチ・DE・Hula、終わり 夜のダイバーシティ バー・イン・ザ・サイレント 「音声会話禁止、でもコミュニケーション大歓迎」のバー。聞こえないマスターたちが、陽気にお客様を待ちます。 訪れた客人は、習ったばかりの手話で、ボードに書いた文字や絵で、マスターとコミュニケーション。伝わった瞬間のお酒のおいしさはまた格別! とある客人の声。「手話を知らない私は身振り手振りでチューハイを注文。親切なマスターに手話は情熱的な『チュー』と元気よく『ハイ!』と教えてもらいました。しかし翌日みんなに披露したら違うらしい……マスター!(苦笑)」 写真:手話をしたり、筆談をしたりしながら談笑 バー・イン・ザ・ダーク 暗闇への誘い、バー・イン・ザ・ダークが今年もオープン。見えないマスターがたった3人でバーを切り盛りします。 「暗い中でお酒を飲むのはけっこう大変……」 「視覚情報がない分、他の感覚が研ぎ澄まされる」 「松村さんが、兵藤さんが、川島さんが、本当に頼もしい!(マスターと同じ班の人は、少々自慢げ)」 「言葉が大切になる空間。言葉なしでは成り立たない」 今年もキャンプ場の暗闇からにぎやかなおしゃべりの声が途切れることはありませんでした。 写真:みんなアイマスクをしながら飲んでいます。 Bar葵 恒例のBar 葵は今年も殿を中心に人が集まり、ワイワイと盛り上がりました。もちろん、お酒も豊富。葵のちょいワルおやじたちなくして八丈の夜は始まりません。 Bar中洲 今年も福岡の雰囲気そのままに、Bar 中洲がオープンしました。マスターの椋本さんは、今年もやる気満々! 福岡のおいしい食べ物、おいしいお酒も振る舞われ、思わず長居してしまうバーです。 Bar in the Hula 今年初参戦、一夜限りのBar in the Hula は、嵐の幕開けとなりました。フラミュージックは風でかき消され、カップや看板は飛んでいき……。それでも「このカクテルおいしい!」「おかわり!」とお客様は絶えず、あっという間に完売御礼となりました。直後、全員避難に……。 Wine Bar with ペタンク 老若男女誰でも楽しめるペタンク。夜はおいしいワインとチーズ片手に、ちょっと大人の遊びに変身。みんなで和気あいあい……という夢は、マスターがタヒチアンダンスを踊っている間に、ワインもチーズもなくなっており、叶わぬ夢となりました。リベンジ! 来年! 写真1:みんな楽しそうにお酒をグビグビ。 写真2:キャンプ場のマーキーテントは夜中まで大盛り上がり。よーく見ると…あれ?!柳瀬さんが、エジプトの民族衣装を着ている! 写真3:黒いキャミソールにピンクのパレオと、おそろいの衣装で決めてきたバーインザフラのマスター。かわいい!!と大好評。 写真4:はい!みんなでハイチーズ!!5人で楽しそうに飲んでいたグループの写真 写真5:酔っぱらいの二人組。とっても楽しそう。 お楽しみイベント 光るキノコツアー 大好評の昨年に続き今年も実施することができた光るキノコツアー。 月明かりが降り注ぐフェニックスの森に入ると、暗闇に光る小さな粒が道筋をつくっていました。 八丈島にある7種の光るキノコは、神秘的な空間をつくり上げ、闇の中にこそ見つけられる美しさを体感させてくれました。 島の方々のご協力に感謝です。 スターウォッチング 我らがカメラマン、しみけん先生の本格スターウォッチング講座。 嵐の1日目に我慢した分、期待は倍に膨らみ、参加者の目線はしみけん先生の指す空へ。 そこで見た輝く世界は……それぞれの胸に持ち帰りました。 夜のダイバーシティ、終わり 真夏の夜のダンスショー 写真:HIPHOPダンスを踊る北薗君 参加者が創るダンスショー キャンプ2日目のBarタイム。 「お待たせしました!真夏の夜のダンスショーが始まります!」 東海さん&事務局カヨさんの司会コンビが始まりを告げると、ドンドコドンドコ太鼓の音が。 タヒチアンダンス 「タヒチアンダンサー募集!」の一声で集まった、老若男女、聞こえない人も交じり合ったユニキャン限定ダンスチーム「Noanoa」。 プロダンサー・マリリン先生直伝のレッスンの甲斐があり、華麗なる腰さばきで会場を盛り上げました。 フラダンス Bar in the Hula のマスターによるフラダンス。「Hiwalani」=「魅力的な人」というチーム名に負けない癒やしのダンス?を披露しました。 HIPHOPダンス 若さとリズム感あふれる北薗くんのダンス。本当に聞こえないの? とにかくかっこいい! 阿波踊り 八王子市の「千人連」に所属する鈴木さんによる、本格阿波踊り。 表情が豊かすぎて皆釘づけ&爆笑!聞こえない鈴木さんには、前でカヨさんがカウントを取り伝えます。 ROCKダンス 「私たちはダンスが大好きです!耳が聞こえなくてもダンスができるところを見せて、みんなにパワーを届けます!」 筑波技術大学ダンスチーム「獅子奮迅」のロックはトリにふさわしく、ストーリー性のあるダンスで観客を魅了しました。 最後はアンコールにお応えして、全員でタヒチアンダンス! 同じ阿呆なら、踊らにゃそんそん!踊るって楽しい、伝えるってうれしい! 来年はぜひ、皆さんがこのステージで主役に! 写真:男の子1人と女の子2人の、筑波技術大学ダンスチーム「獅子奮迅」のダンス!おそろいの赤いTシャツに黒いパンツでかっこいい!! 写真2:Bar in the Hula のマスターによるフラダンス。お揃いの水色のパレオに頭には白いレイとってもかわいいです。 写真3:緑色のハッピ姿で阿波踊りを踊り狂う男性。 写真4:タヒチアンダンス。色違いのお揃いの柄のパレオ(オレンジ、赤、黒)と青いボンボンを持って踊っています。 写真5:最後にみんなでタヒチアンダンス!見ている人も踊っている人も楽しそう! 真夏の夜のダンスショー、終わり 自由時間 シュノーケリング 珊瑚礁が広がる海。魚たちがゆったり泳いでいるのを見ていたところ、ウツボが出てきて冷や汗。 少し肌寒い中でしたが、ウェットスーツに守られ、海の世界に酔いしれました。 一緒に参加した視覚障がいの兵藤さんは、しきりに「ぷかぷか浮かんで楽しい、楽しい」と連呼。 「次はダイビングのライセンスに挑戦!」と意気込んでいました。 写真:ウエットスーツ姿でシュノーケリング 温泉&展望 「なんでみんなお酒がこんなに好きかねぇ」 自由時間は、温泉で束の間のほっこりプラン。 途中、黄八丈工場を見学し、名護の展望台で、絶景を楽しむ。 ところが展望台にはなぜか島の焼酎を試飲できるツボがぽつん。 「皆さん、絶景はあちらですよ?」と、案内の方の呼びかけを背に、みんなで焼酎に群がりました。 写真:みんなで裸の付き合い。露天風呂につかっています(もちろん男湯の写真です) ネイチャーツアー 地元の方の案内により、島の自然に触れるネイチャーツアー。 南国を思わせる植物が多くある八丈島をのんびりお散歩。 草花の香りを楽しんだり、見たことのない植物に感動したり。南国ならではのトロピカルなフルーツを食べるチャンスもありました。 穏やかな島の景色と鮮やかな植物たちに癒やされるツアーとなりました。 写真:緑の中を散策している様子 レンタサイクル&バイク レンタサイクルは、大人3人+小学生1人の小さな旅。八丈島は坂道が多く、地元の人もあまり自転車に乗らないとの話。皆で大汗。それでも、灯台から見えた八丈小島がその疲れを吹き飛ばしてくれました。 バイクは、絶景を眺めながら6人で島の人に案内されて八丈島を一周ぐるり。 途中、防空壕にも立ち寄り、八丈島の歴史も堪能しました。 写真:バイクに乗って滑走中!とても気持ち良さそう。 ビーチ 今年は少し肌寒かったビーチ。それにもめげずにぐんぐんと泳いでいくのは、松村さん。見えているのかと思うほどすいすいと進んでいきます。もちろん村長の泳ぎも健在。 砂浜では、ごろんと寝転ぶ人、音楽をかけてフラを踊る人、思い出の写真撮影をする人など、思い思いの自由気ままな時間を過ごしました。 写真1:久々の海にはしゃぐ内山村長 写真2:ビーチ組で集合写真。あれ?お腹ひっこめている人がチラホラ(笑) 回遊魚祭り 底土猟師小屋で、島の猟師の女将さん料理に舌鼓。今回幸運にも回遊魚祭りの日と自由時間が重なり、お酒大好き、お魚大好きな参加者たちは、とれたてぴちぴちのお刺身と島の焼酎を楽しみました。 ごちそうさまでした! 写真:回遊魚祭りでお魚と島焼酎に舌鼓。 ダイビング 今年はクラウンダイバーズさんにお世話になり、ダイビングを実施しました。10本ダイバーから200本ダイバーまで、日本有数のダイビングスポットである八丈島で色とりどりのきれいな魚を楽しみました。 自由時間、終わり 報告2、終わり アンケート結果(原文より一部抜粋) 参加のきっかけ ・障がいのあるなしにかかわらず、壁が取れるきっかけを見つけたくて。 ・自分の中で毎年恒例の参加イベントになっているので。 ・障がい者雇用に携わる職業につきながらも、障がい者と接点を持つ機会がほぼなく知識として知っているだけで共に過ごす体験をしたことが少なかったので。 ・一昨年度に企業参加し、有意義だったため。 ・大学の先生から勧められて、ユニバーサルデザインとも関連していることから興味を持った。 ・前回参加して大変良かった為。 印象に残ったこと ・グループでの気づきを共有したこと。メンバーの変わっていく過程が、勿論自分も変わっていくことが実感できた。 ・聴覚障がい者以外の障がい者と交流ができたこと。これまで交流の機会がなかったためどう接すればいいのかわからなかった。 ・ペタンクで、体が思うように動かないメンバーがアイマスクをして球を投げた時、すごくいい位置に球が止まったこと。みんなの工夫や気持ちが1つになった気がした。 ・人生の先輩にたくさん出会えたこと。経験が深い方々の話を聞くことですごく世界が広がった。 ・筑波技大の学生さんのダンス! 障がいのハンデを感じさせない踊りは、障がいがあるからダメなんだという先入観を行動で覆させてくれたと思う。 ・公民館で避難生活というスリリングな夜。 ・あっという間に手話が話せるようになったこと。勉強ではなくて、普通に話したいという気持ちと環境がそろっているからでしょうね。 ・皆が互いに配慮しあうことの心地よさに感動した。 ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション ・障がいは個性であり、みんなと違ってて当たり前なこと。そのことをしっかり受け入れることができた。 ・特に盲ろうの方のお話は印象的。コミュニケーションが困難な状態に思われる彼の世界観、人生観をもっと知りたくなった。今まで知らなかった感覚や考えに触れられたことが、印象に残った。 ・いろんな人の話が聞け、質疑応答で日頃から感じる疑問を解決することができた。 ・普段聞くことのできない話をいっぱいしていただき、いろんなことに気づいた。 語り ・心に響きました。 ・私は目も見え、耳も聞こえる、字も書け、伝える手法はたくさんある。 しかし、私は今までは単に発信していただけで、「伝える」ということに対する意識は低かったように思う。「語り」の本質を知ることができた。 ユニバーサルスポーツ ・基本的なルールはあるけれど、ユニバーサルな観点にたって独自のルールを試合毎に決められるのが良かった。 ・チーム行動の流れが時間が経つにつれてまとまるのを感じたこと。 ユニボン ・八丈島の人と話ができた。楽しかった! ・すごい熱気とみんなの笑顔。 バー・イン・ザ・サイレント ・昼間習ったばかりの手話を使いコミュニケーションをして、わからない手話をバーのマスターに教えてもらった。音声がなくても楽しく語り合うことができた。 BBQ&おにぎり大会 ・おかずの量は、人数に対して少しだけ少なめ。でもそれが、分け合って食べる、お互いを思いやって食べる、感謝して食べる、ということに繋がっているように思った。 改善したほうが良い点 ・種類が多いので、どうしても一つ一つが薄くなってしまうのは残念でした。プログラムの後は、みんなでそのことについて真剣に語り合うなんて時間もあるといいですね。 ・ダイバーシティの各部屋では、聞き手から出る質問の内容によっても有効な時間になったりそうでなかったり、かなり左右されるような気がした。そのあたり、より学びを多く持ち帰られるようコントロールしていただけるといいと思った。 ・BBQではなくカレーです! 同じ釜の飯を食うということが気持ちの上でやっぱり違いますねぇ。 ・もう少し他の班との交流もできる内容があれば良かった。 ・ペタンクは野外での要約筆記が難しかったため、前もってやり方を紙で渡してほしい。 ・たくさんやることがあるときは、プリントなどで指示があるとわかりやすいと思った。 欲しいプログラム ・気づいたことをもっと話し合う時間が欲しかった。 ・これ以上、あったら平常の生活に戻るのが怖い。(笑) ・皆で、(もちろん男女別ですが)一緒にお風呂に入りたい。 ・1日は聴覚障がい者、1日は肢体障がい者、1日は視覚障がい者と、一度に様々な障がいについて話を聞くのではなく、じっくりと向き合う時間があればいいなと思う。 ・グループで共通したテーマに対して意見を出し合って他のメンバーの考え方や見方などの気づきを得たい。 ・身体に障がいを持たれている方にも選べるプログラムが多く有るとよい。 ・八丈島という自然を生かしたアクティビティを取り入れて、例えば海だったらチームで筏を作ったり、山だったらソリを作って斜面を滑ったり、というようなことができませんか? ・オプションとしてのプログラムで、延泊し交流を深めたりするプログラムが欲しい。 コミュニケーションの方法で気づいたことは ・自ら自分の障がいについて説明したり、どのようなコミュニケーションを希望するのか等、伝えていくことも意識して参加したほうが、より意味が深まるのではないかと感じた。そのことによりグループのメンバーの理解も、より深まり、関係性も深まると感じた。 ・ろう者が目隠しをしたとき、これが本当に難しかった。その場で気を使うことはできるでしょうが、日常レベルでその方の情報保障をする自信はありません。 ・伝えたいという思いがあれば伝えられる。理解したいという思いがあれば理解できる。方法は関係ないと思いました。 ・手話は難しい。 ・怖がっていては、何も始まらない。自分に自信を持って、話し始めることが大切だ、と。 ・伝えたいと言う意思があれば、手話を知らなくても、テキトウ手話でもなんとかなるものだ、というあっけらかんとした自信も得た。今まで、手話ができないと耳の聞こえない人とコミュニケーションをとることはできないだろうと自分で勝手に決め付けていた。無知ゆえに自分から壁を作っていた。それが見事に壊れた。 ・八丈島の太陽光線が非常に強いので、手話や口話を読み取るのに目が非常に疲れる。野外のプログラムの時は、本部の位置が逆光や90度横にならないほうがいい。見にくい。 ・野外やバスの中での要約筆記が難しい。 ・私は聴覚障がいがありますが、視覚障がいのある人とのコミュニケーションがとても難しかった。いずれは周りからのサポートなしでもコミュニケーションがとれる方法を見つけていきたい。 ・まずは、コミュニケーションしたいという気持ちが大事だということに気づいた。 ・広くて騒がしい場所では、遠くにいる人とコミュニケーションするのに、手話は便利だった。 ・1日目は気遣ってくれるが、時間が経つにつれて適当になってきたように感じた。習慣化にする、続ける、のは結構難しいことだと思った。 ・障がい者同士がサポートし合う自然な姿が印象的だった。 ・班内にろう者が2人もいるのに、普通にベラベラ喋っている人がいた。手話ができるのに、手話を使って話してくれないとか、そういう人は何のために参加したのか知りたい。 ・方法はいろいろとあるのに、いざ思いを伝えようとすると、伝えられない。コミュニケーションには時間も技術も必要だなとより感じた。 ・手話ってすばらしいツールだなと感じ、勉強したいと心から思った。 ・視覚障がい者に代名詞は通用しない概念なんだと実感。できるだけ形式知に置き換えて伝えることの大切さを学んだ。 ・通じないと思って諦めるより、必ず通じると信じて話しかけることの大切さを学んだ。 自分自身の考え方や行動が何か変わりそうか ・今まで、福祉法人で勤務をしていると、あまり一般企業の方に出会う機会もなかったので、刺激を多くいただいたと感じた。今後の仕事にも生かしていきたい。 ・自分の絶対的なビジネス観というモノがあった。それがいま、ざわわ。 ・頭ではわかっていたが、障がいは個性であると心底思えるようになった。 ・手話ができる人ばかりの中に入り自分がマイノリティになった場合、極端に意見を言えなくなってしまった。障がいのある方は社会でそのような経験をたくさんしてこられたと思う。少なくても社内では数の原理を働かせないようにしていきたい。 ・今までどおり、自然に障がいを持つ方とお付き合いしたい。 ・まずは、話すこと。聞くこと。信じること。伝えようとすること。わかろうとすること。そして、全てを楽しもうとする心を持つこと。今までの自分になかったものの欠片をちょっとずつ集めることができた。 ・障がい者は助けてもらって当たり前という存在から、他者を助けていこう、いけるという働きかけのきっかけを作ったこと。 ・自分の障がいに対してとても前向きになった。以前は、「聞こえない自分」をどこかで受け入れられなかったけれど、今では自分の障がいを誇りに思う。 ・障がいがあることで出逢えるべき人達がいる。ユニキャンで出逢えた人達も「聞こえない自分」だったからこそ出逢えた。そんな風に考えられるようになった。 ・障がいがあることに感謝して、ひとりひとりの出会いを大切にしていきたい。 ・自分から積極的にこうしてほしいって言わないといけないと思った。 ・回りにもう少し迷惑を掛けても良いのかなと?その分を返せる(悲しいことを受け止めたり、嬉しいことを分かち合えたり等々)ように行動をしたい。 ・障がいは病理的視点ではなく社会的視点というのを自分の体験からも得ているが、改めて心理的なところが大きいし、意図せず相手に障がいを与えてしまうことの方が大きいと痛感した。オロオロする彼らに何してんだ!と思うことこそ障がいを与えているようなものだと。 ・視覚障がい者や車いすの方を見かけたら声をかけたい。私の側のバリアが少し低くなったように思う。 町の印象は ・今回はやはりキャンプ場にキレイなお手洗いが設置されたことがすごく嬉しかったし、大きな変化だったと思う。また、毎年のことながら島のみなさんにとても親切にしていただき優しい気持ちになった。 ・空港やキャンプ場等で、温かく迎えていただけたことに、大変感謝。 ・ユニボンでかかわった方々は皆さん素敵だった。 ・ご協力いただいた島の方々の愛情を感じた。数多くの島の方々が、共感し本気でサポートしていただけるようになったのは、運営委員会の方のご尽力と過去に参加された方のお陰であると感謝。 ・キャンプ場の芝生、青い空、眼の前に海、まるでドラマのシーンにでてくるようなロケーション。そして夕日や夜空は素晴らしい。首都圏の喧噪を忘れさせてくれる癒やしがある。 ・レンタカーの会社のお兄さんもとっても親切で感動した。 ・居心地が良くて、ゆったりしていてよかった。ちょんこめ作業所の方ともっと関わりたくなった。 ・思った以上に歓迎されていたことに驚いた。 ・とても南国の雰囲気であり、町民の方々もおおらかで、優しさを感じた。 ・レンタルバイクで八丈島を回ったが、本当に気持ちいいし、海もきれいだし、最高だった! 八丈島に望むことは ・人口が年々減ってきていると聞いたので、若い人達に島の良いところをもっと知ってもらい、みんなで守っていってもらいたい。 ・八丈島に住んでいる方々の生活のスタイルや、語り継がれているようなお話等をもっと伺えたら……。 ・これからもユニキャンとの関係を強化していってくれると嬉しい。 ・ 八丈島のことをもっと知りたい。 ・自然がたくさんある八丈島。島に住む方が今のままでよいならば、便利にならずに、このまま変わらずにあってほしい。 ・こどもたち(小学・中学)と関われればと思います。八丈の印象がより強く付くのでは? ・この調子でアクティビティの種類を増やし、受け入れ環境(UD)を整えていけば他の地域にも負けない観光資源になると思います。 このキャンプで感じたことや意見 ・たくさんの気づきをいただき、大切な時をたくさんの人と共有することができ、とても嬉しかった。出会いにも恵まれ、楽しい3日間を過ごすことができました。 ・ユニキャンはやはり一つの文化。そこでは、当たり前のように誰とでも普通に関わることが前提なので、多くの人はあの環境にいけば、ユニキャン的関わり方ができる。しかし、日本文化に戻ったとたん、その共通見解は崩れ去りましたから、恐らく多くの人は同じ関わり方をすることはできません。きっと、心の中にはみんなユニキャン的文化価値観を持っている。これを如何に普遍の文化にするか、変えるか。しかしきっと相当な難問ですね。 ・このキャンプは3日間だけでは足りない。もっともっとたくさんの人と関わりたかった。この気持ちがいまだに残っている。 ・知的障がいや精神障がいをもつ方がもっとたくさん参加して、一緒に関わり合い楽しむためには、どうしたらよいのだろうと、私自身の仕事につなげたいと思う。 ・今回子供も参加させていただいて、子供たちなりにがんばってついていったところ、周りの方に助けてもらったところ、ついていけなかったところがあると思うが、様々な個性を持つ大人と一緒に生活したことは、子供にとって、今は気づかないけれど、人間観察や思いやりの種を心に植えてもらっただろうと思う。参加させていただいて、ありがとうございました。 ・障がい者よりも聴者の方が多いのでは普段と変わらないので聴者は障がい者の3分の1に抑えるなど工夫してほしい。 ・これだけのイベントを行える体力、気力、人間力を感じた。フラも公民館避難も印象的で良かったです。 ・去年は本当に楽しかった! みんな平等に話してくれるし、差別ってゆう感じもしなかったし、孤独な感じも全くなかった。でも、今年はすっごく楽しかったじゃなくて、いろいろ考えることが多かった。孤独な気持ちになったり、皆は何のためにキャンプに参加したのか? って考えたり……。 ・社会に出ると、このままの自分じゃ駄目だなと考えさせられた。すごくいい刺激になったし、いい勉強になった。来年も、社会人になった自分が、キャンプに参加していろんな意味で勉強になるのかな?とすごく楽しみ。 ・こんなに楽しかったイベント(キャンプ)は初めてで、出会いって良いなぁと思った。 アンケート結果、終わり ユニバーサルキャンプはこれからも毎年続いていきます…… ユニバーサルイベント協会では、ユニバーサルキャンプや、その他さまざまなイベントを一緒に盛り上げていってくれる方を募集しております。 スタッフとして、また協賛や賛助などで一緒にイベントを創り上げてみませんか? 皆様のご参加・ご協力を心よりお待ちしております。 ユニバーサルキャンプ支援パートナー 主に企業などで、ユニバーサルキャンプの実現・普及を以下の面から支えてくださる方 ・資金面での協賛 1口50,000 円より ・物品・サービス等の面での協賛 ・研修協賛(ユニバーサルキャンプ参加、事前・事後研修) 1 人150,000 円 会員パートナー 正会員:本会の目的に賛同し、活動に参加していただける法人・団体または個人 ・法人100,000 円、個人12,000 円 賛助会員:本会の趣旨に賛同し、活動に協力して いただける法人・団体または個人 ・法人50,000 円、個人7,000 円 協賛・協力パートナー 主に個人、NPO、企業などで、以下の面についてご協力いただける方 ・計画から実施運営までのノウハウの提供、人的支援協力 ・活動を広げるためのネットワーク連携企画・活動などの実施 お問い合わせ NPO ユニバーサルイベント協会 〒108-0075 東京都港区港南2 丁目12 番27 号 イケダヤ品川ビル3 F TEL:03-5460-8858 FAX:03-5460-0240 E-mail:info@u-event.jp URL:http://u-event.jp/ 交通のご案内 JR各線「品川駅」徒歩8分 りんかい線「天王洲アイル駅」徒歩12 分 モノレール「天王洲アイル駅」徒歩8分 * 地図説明 報告書執筆協力者一覧(企業研修参加の皆さま/敬称略/五十音順) 飯塚佳代(事務局)・伊藤悦弘(東日本トランスポーテック)・今井教介(東日本トランスポーテック)・内山早苗(UDジャパン)・大塚孝二(丹青社)・小柳陽平(ゼネラル・パートナーズ)・木内美菜子(富士通デザイン)・北村尚弘(ゼネラル・パートナーズ)・里厚志(東日本トランスポーテック)・篠英治(丹青社)・柴垣裕保(丹青社)・柴田貴輝(丹青社)・島上聡子(UDジャパン)・下園久美子(UDジャパン)・杉岡堅吾(丹青社)・瀬尾正昭(東日本トランスポーテック)・土井啓郁(丹青社)・冨迫健太郎(丹青社)・中村俊之(エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ)・根石正之(早稲田システム開発)・野口礼奈(UDジャパン)・長谷川奈美(ゼネラル・パートナーズ)・服部未来(丹青社)・平原聖士(富士通デザイン)・細川真美世(ゼネラル・パートナーズ)・柳匡裕(ゼネラル・パートナーズ)・吉田麻紀(丹青社) 第5回ユニバーサルキャンプ in 八丈島報告書、終わり