視覚障がい者をサポートする際のポイント ー ユニバサルイベント協会 池松 塑太郎
2024年12月10日 コラム12月3日から9日までは障害者週間ということで、障害理解に関するさまざまなイベントが行われています。
ユニバーサルイベント協会でも、年間を通して随時企業や団体の方を対象とした障害理解に関する研修プログラムを行っています。私は、そういったプログラムの中で、当事者の立場から視覚障害についてお話しさせていただくことが多くあります。お聞きいただいた皆様からは、さまざまなご質問をいただきますが、特に街中で視覚障がい者を見かけた際のサポート方法に関するご質問を多くいただきます。
そこで今回は、特によくいただくご質問をもとに、サポート方法のポイントについてご紹介します。
Q1:困っていそうな視覚障がい者を見かけたとき、どんな声掛けをすればいいの?
A:基本的には「何かお手伝いしましょうか?」や、「何かお困りですか?」といった問いかけをいただけるとありがたいです。
NG!:特に階段や列車の乗り降りの際、声をかける前に腰や肩を支えようとされる方がいらっしゃいますが、周囲の状況が見えづらい視覚障がい者にとっては急に体に触れられると驚いてしまいます。場合によってはバランスを崩し、サポートをされる方、する方双方がけがをしてしまう場合もあるため、列車が接近中の線路に転落しそうになっている、赤信号の交差点に飛び出しそうになっているなど命の危険が差し迫っているとき以外は、体に触れる前にまずは声掛けをいただけるとありがたいです。
Q2:サポートを依頼された際、どのように誘導すればいいの?
A:基本的には、目が見える方が視覚障がい者の白杖や盲導犬のハーネスを持っている手とは逆側の1歩前に立ち、肘もしくは肩を持ってもらい歩くという方法が一般的です。ただ、どちら側に立って誘導されると歩きやすいかは、視覚障がい者それぞれで異なりますので、余裕がある場合には「どちらに立てばよいですか?」などご質問いただけるとありがたいです。
また、どれぐらいの速度で歩けばいいかといったご質問をいただくことも多いのですが、街中を一人で歩いているような視覚障がい者の場合には、極端にゆっくり歩く必要はなく、普段自然に歩いている速度で問題ないことが多いです。ただ、これも個人差が大きいので、気になる場合には「速度大丈夫ですか?」とご質問いただけるとうれしいです。
Q3:そもそも困っているかどうかを見分けるポイントはあるの?
A:これは私の個人的な感覚や、周囲の視覚障がいがある知人に聞いてみた経験則になりますが、困っている場合には周囲をきょろきょろ見まわしたり、同じ場所を行ったり来たり、いろいろなものにぶつかりながら歩いたりすることが多いようです。
逆に、周囲の人と差して変わらない速度で歩いていたり、毎日同じ時間・場所で出会うような場合には、慣れている場所なのでサポートは特に必要ないこともあります。ただ、手助けが必要かどうかは視覚障がい者本人にしかわかりませんので、気になる場合にはお声がけいただけるととてもありがたいです。もし、「慣れた場所なので大丈夫です」などと断られた場合でも、それは声をかけられたのが不快だったというわけではなく、単純に慣れている場所なので手助けを必要としていなかっただけですので、気にせず自然にその場を離れていただければ大丈夫だと思います。
以上、簡単なサポートのポイントについてご紹介しましたが、どのような方法がありがたいのかは目の見え方や個人の状況によって大きく異なります。ユニバーサルイベント協会には視覚障がいがある会員も多く所属していますので、もしご興味のある方はお気軽にイベントや研修プログラムにご参加いただけるとうれしいです!