第12回ユニバーサルキャンプ in 八丈島報告書のテキストデータです。表紙のほか全21ページあります。 【表紙】 第12回ユニバーサルキャンプin八丈島報告書 事前研修 2016年8月29日 キャンプ 2016年9月10日から12日 事後研修 2016年9月30日 NPOユニバーサルイベント協会 <表紙写真の説明> 八丈島の三根小学校体育館で、キャンプ参加者全員での集合写真 【1ページ】 目次 ページ2、謝辞 ページ3、開催趣旨、概要 ページ6、キャンプ実施報告、ダイバーシティきっかけコミュニケーション ページ7、ユニキッチン ページ8、ダイバーシティどっぷりコミュニケーション ページ10、選択プログラム ページ11、ユニバーサル盆踊り ページ12、ダイバー ページ13、ユニバーサルスポーツ ページ14、振り返り ページ15、コラム ページ16、企業研修プログラム実施報告、事前研修 ページ17、キャンプ研修 ページ18、事後研修 ページ19、研修参加者の声、キャンプアンケート ページ20、企業研修プログラムアンケート 【2ページ】 謝辞 干支が一回りという第12回のユニバーサルキャンプin八丈島が無事終了しました。企画から13年、第1回目から地元八丈町観光課とまちの方々の強力なサポートをいただき成り立ってきた、まさに地域との協創イベントです。そして、ほぼ10カ月近くかけて準備してきたスタッフたちは、みなこのキャンプに参加してその魅力に導かれて無償でスタッフとなった方々です。ご支援くださっている多くの企業や団体様、個人一人ひとりの熱く温かいお力で続いていることに心から感動を覚えます。昨年の第11回は、一般社団法人日本イベント産業振興協会主催イベントアワードで優秀賞、多様性体感賞をいただきました。12年の月日は、ユニバーサルキャンプin八丈島のめざす“多様性を受け入れて誰もが当たり前に活躍できる社会”が大きく推進されてきた年月でもあります。続けることの大切さとメッセージを発信し続ける価値を実感しています。ひとえに参加者やスタッフ、そして協賛いただいている方々のお力の賜物です。深く感謝申し上げます。ありがとうございました。 NPOユニバーサルイベント協会 理事長 内山 早苗(うちやま さなえ) みんなが一緒に活き活き暮らせる社会(ユニバーサル環境)の実現を標榜し、その活動の一環として始まり、多方面の皆様のご尽力で作り上げてきたユニバーサルキャンプも12回目を数え、今年も八丈町の皆様はじめ多くの方々に支えられ無事終了することが出来ました。あらためてお礼申し上げます。 今後、日本はダイバーシティ環境が問われる国際的なイベントが目白押しです。また、関連法の整備も進み、ダイバーシティ推進は企業経営において喫緊の課題となっています。当協会は発足以来培ってきた“価値”を社会に発信して行くことが責務であり、その発信の重要な場の一つがユニバーサルキャンプin八丈島です。引き続き皆様のご協力の下、更にステップアップしたユニバーサルキャンプを目指して参りますので是非ご期待ください。 NPOユニバーサルイベント協会 専務理事 橋 保之(たかはし やすゆき) ユニバーサルキャンプ実行委員長 【3ページ】 開催趣旨、概要 ユニバーサルキャンプは、ダイバーシティ(多様性を受け入れること)の考え方のもと、みんなが一緒にいきいき暮らせる社会の実現を目指し行われる2泊3日の交流イベントです。八丈島の豊かな自然のもと、障がいの有無、年齢、性別、国籍に関係なく多様な参加者が集い、キャンプという日常生活より少し不便な環境の中で、互いに協力し、サポートし合います。そうした経験をとおして、参加者一人ひとりが尊厳をもつ対等な関係として自立、自律するとともに、その輪を広げていくことを目指しています。 企業研修プログラムについて ユニバーサルキャンプin八丈島企業研修は、多様な人材の力を引き出すための意識、姿勢を身につける、参加、体験、実践型の研修プログラムです。多様な参加者とともに行われるキャンプイベント、ユニバーサルキャンプin八丈島の場を活用し、参加者どうしの協働やコミュニケーション体験を通じて、ダイバーシティ(多様性)を成果につなげる意識、姿勢を身につけます。企業研修プログラムは八丈島でのキャンプに加え、その事前、事後の合計5日間の研修で構成されています。企業研修参加者は、キャンプではグループのリーダー役を務めます。事前研修、キャンプ、事後研修のプロセスをとおして、学習、実践、内省のサイクルを繰り返すことで、実践的なリーダーシップ力が磨かれます。 開催概要、開催日程、場所 事前研修 日程 2016年8月29日(月) 場所 国立オリンピック記念青少年総合センター キャンプ 日程 2016年9月10日(土)から12日(月) 場所 八丈島 底土キャンプ場 他 事後研修 日程 2016年9月30日(金) 場所 国立オリンピック記念青少年総合センター 参加者数 122名(一般参加96名、企業研修参加26名) 研修参加企業 株式会社岡村製作所、株式会社シミズオクト、JR東日本テクノロジー株式会社、株式会社スペース、株式会社セレスポ、大日本印刷株式会社、株式会社丹青社、株式会社電通イベントオペレーションズ、富士ゼロックス株式会社、株式会社ブルームーン、株式会社UDジャパン 【4ページ】 開催趣旨、概要の続き 主催 NPOユニバーサルイベント協会 共催 東京都八丈島八丈町、株式会社丹青社、株式会社UDジャパン 協賛 株式会社伊藤園、東京海上日動火災保険株式会社、東京キリンビバレッジサービス株式会社、東明興業株式会社、日本通運株式会社、一般社団法人日本フェイスペイントイベント協会/ミラクルペイント、YYPJ 後援 一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会、一般社団法人日本イベント産業振興協会、一般社団法人日本イベントプロデュース協会、一般社団法人日本空間デザイン協会、公益社団法人日本サインデザイン協会、一般社団法人日本商環境デザイン協会、一般社団法人日本ショッピングセンター協会、公益社団法人日本フィランソロピー協会 協力 八丈町産業観光課の皆様はじめ八丈町役場の皆様、八丈町立三根小学校、八丈電設センター株式会社、有限会社沖山興業、株式会社佐々木住設、ちょんこめ作業所、大賀郷婦人会の皆様、三根婦人会の皆様、他、八丈島連合婦人会の皆様、加茂川会の皆様、コウリマナニエの皆様、朝市会の皆様、八丈島アロマ&ヨガセラピールーム癒香、椎(しいのき)大類由里子さん、有限会社山田屋、スーパーあさぬま(浅沼商店)、有限会社名代一休庵、学校法人東京マスダ学院 【5ページ】 開催趣旨、概要の続き プログラム概要 事前研修 8月29日(月) 講義 ダイバーシティの理解と受容、支援型リーダーシップ ダイバーシティコミュニケーション実習ルームオブダイバーシティ キャンプ研修での目標、アクションプランの設定 振り返り(気づきの共有) キャンプ 9月10日(土) 開村式 アイスブレイク、オリエンテーション ダイバーシティきっかけコミュニケーション ユニキッチン ダイバー(自由参加) リーダーシップ振り返り(研修参加者対象) 9月11日(日) ユニウォーク(自由参加) ダイバーシティどっぷりコミュニケーション 選択プログラム ユニバーサル盆踊り ダイバー(自由参加) リーダーシップ振り返り(研修参加者対象) 9月12日(月) ユニバーサルスポーツ、ペタンク 振り返り 閉村式 事後研修 9月30日(金) キャンプ振り返り(気づきの共有) ダイバーシティに関するケーススタディ演習 コミュニケーションアクティビティ 体験を仕事に活かすワークショップ 【6ページ】 1.キャンプ実施報告 1-1.ダイバーシティきっかけコミュニケーション プログラムのねらい ダイバーシティの理解を深めるため、各障がいの特性を理解してもらう。それにより、各障がいに必要な配慮について気づきを得る。また、参加者間の緊張や壁をなくし、コミュニケーションを円滑にする。 レポート 聴覚、視覚、肢体(車いす)、こころ(見えない障がい)について、各グループの講師より、障がいの特徴やサポート方法、コミュニケーション方法の説明を行いました。参加者には、実際に特性がある人の立場になって、情報の壁、視覚障がいの手引き方法、車いすのサポート方法、コミュニケーション方法等を体験してもらいました。また、同じ種類の障がいのある人でも、一人ひとりに最適なサポート方法は異なるため、相手とコミュニケーションをとりながらサポートすることが大切であるとの説明がありました。 <6ページ写真の説明> きっかけコミュニケーションの様子を写した写真が4枚あります。 聴覚障がい者への情報伝達をゲームを通して説明しているシーンの写真、 アイマスクを着けて視覚障がいの体験をしているシーンの写真、 車いす体験やサポート体験をする参加者の写真、 知的、精神障がいの特性について寸劇で紹介しているシーンの写真 【7ページ】 1-2.ユニキッチン プログラムのねらい 班で協力して料理を作ることで、メンバーの特性、個性、能力について相互理解を深める。そうした理解をもとに役割分担やチームワークの重要性を学び、ユニキャンでの生活がより充実したものになるよう、チームワークを高める。 レポート 今年のメニューはオリジナル汁料理、ユニ汁。各班にくじ引きでランダムに調味料と食材を提供し、班ごとにバラエティ豊かなユニ汁が出来上がりました。八丈島の福祉作業所、ちょんこめ作業所のメンバーと八丈島の方も一緒に調理に加わり、メンバーの特性や得意、不得意を考えながら役割分担を決めました。火をおこす経験がない人もいる一方で、目の見えない人が率先して火おこしをリードする光景もみられ、多くの気づきを得ることができました。 <7ページ写真の説明> ユニキッチンの様子を写した写真が4枚あります。 役割分担し、野菜を洗っているシーンの写真 協力しながら火を起こしているシーンの写真 完成したオリジナル汁料理、ユニ汁の写真、 班のみんなで楽しく食事をしているシーンの写真 【8、9ページ】 1-3.ダイバーシティどっぷりコミュニケーション プログラムのねらい 異なる価値観、視点をもった人々とじっくりコミュニケーションをとることで、その違いや特性を理解する。自己の視野を広げ、社会の中で互いを活かす方法や仕組みを考えるきっかけとする。 レポート 会場を三根小学校に移して行う、キャンプのメインプログラムです。参加者はグループに分かれて各部屋を巡り、部屋の主人からその特性に関連する話を聞き、その後聞いてみたいことをなんでも質問します。主人は参加者の中から選ばれ、順番に話をします。例年は三根小学校校庭に各部屋を設けましたが、今年は雨天のため急きょ体育館へ場所を移しての開催となりました。各部屋では、様々な生活スタイル、価値観、視点を持った主人の話に刺激を受け、次々に質問が出ていました。各部屋を一通りまわった後は班で集まり、各自聞いた話を共有することで、新たな気づきを得ていました。 音の部屋 聴覚に障がいがある方の部屋です。途中で普通学校からろう学校へ編入した主人は、それぞれの学校の生活の違いや、ろうの世界と健聴の世界のメリット、デメリットを話していました。別の主人は聴覚障がい児の発音練習の仕方を話しており、お菓子を使った発声練習の方法を実際に参加者も体験していました。 動きの部屋 車いす使用者や、動きに不便がある方の部屋です。ある主人は一人暮らしをしており、家族や介助者のサポートが必要ですが、一人で暮らすようになって色んなことができるようになったと話していました。夢は車いすのヒッチハイクで日本列島横断、という主人は、動きに制限ある中でも、できないと決めるのではなく、まずは挑戦すること、できるように工夫することが大切、と話していました。 光の部屋 視覚に障がいがある方の部屋です。見えない人ならではのあるある話等を話していただきました。生まれつき見えない視覚障がい者の普通は、顔を見て話す習慣がないため、お互いの声を聞く事ができれば背中合わせでお話することがある、点字には漢字がないため、大人になってから覚えるのが大変、等、初めて聞く内容ばかりで参加者は多くの気づきを得ていました。 関わりの部屋 人それぞれの目に見えない色んな悩みや日々の生活での出来事を話していただきました。発達障がいの子どもを持つ母親である主人は、見た目では分かりにくい障がいのお話、うつ病や発達障がいと向き合う日々の話など、自分たちの身近なところで悩みを抱えているかもしれないこと、様々な人がいることに気づく部屋となりました。 八丈の部屋 八丈島に住んでいる方々からお話をしていただきました。八丈島で牧場を営んでいる主人は、本島とは違う牛の育て方や全国展開している商品などについて話していました。他の主人からは、本島から八丈島へ移住したお話などをしていただき、島の魅力などを改めて知ることができました。 <9ページの写真の説明> どっぷりコミュニケーションの各部屋を写した写真などが6枚あります。 音の部屋で、お菓子を使った発声練習の方法を体験しているシーンの写真、 動きの部屋で、車いすの方が話しているシーンの写真、 光の部屋で、視覚障がいの方の話を聞いているシーンの写真、 関わりの部屋で、困難を乗り越えた体験を話しているシーンの写真、 八丈の部屋で、島の牧場のお話しをしている主人の写真、 体育館で各部屋に分かれて話を聞いている全体風景の写真 【10ページ】 1-4.選択プログラム プログラムのねらい あらかじめ選んだ希望プログラムを、多様な参加者と一緒に楽しみつつ、八丈島の自然、文化などに触れることで、多くの気づきを得る。 レポート 参加者が温泉、郷土料理体験、歴史民俗資料館見学、八丈植物公園見学、サイクリング、スノーケリング、海水浴、ヨガ、ものづくり体験の中から選んだプログラムを、班の垣根を超えて一緒に楽しみました。キャンプ場を離れて八丈島の各所に行き、自然や文化に触れました。また、自由に参加者同士で交流し、お互いの特性の理解を深めたことで、新しい発見や気づきが得られました。 <10ページの写真の説明> 選択プログラムの各プログラムの様子を写した写真が6枚あります。 島の婦人会の方々に郷土料理を教わるシーンの写真、 急坂を登り切り達成感いっぱいのサイクリング参加者の写真、 国の有形文化財である歴史民俗資料館の建物の写真、 ティーリーフのレイをつくる参加者の写真、 海辺のヨガで心も身体もリラックスしている参加者の写真、 植物公園内のビジターセンターでウミガメの模型に触れる参加者の写真 【11ページ】 1-5.ユニバーサル盆踊り プログラムのねらい 地元住民の方々にも気軽に参加していただき、地域との交流を図るとともにダイバーシティ体験を一緒に楽しむ。八丈島の文化や特産品など、島の魅力を味わう。 レポート ユニキャン恒例、地元の方との交流イベント、ユニバーサル盆踊り。三根小学校の体育館に戻り、おいしい料理、地酒とともに、八丈島の方も参加して一緒に楽しみます。今年も島の方たちによる伝統芸能やフラダンス、ちょんこめ作業所の皆さんの手話歌などがあり、会場全体で盛り上がりました。見えない人に手をとって踊り方を伝えながら一緒に盆踊りを踊ったり、腕の力が弱い人も素晴らしい太鼓を披露したり、大いに盛り上がりました。最後には参加者全員で手話歌を歌い、キャンプ参加者と八丈島の皆さんが一体となって楽しい時間を過ごせました。 <11ページの写真の説明> ユニバーサル盆踊りの様子を写した写真が6枚あります。 島の方が八丈島の伝統芸能、米つき歌を披露しているシーンの写真、 八丈島の伝統芸能、皿踊りを参加者も楽しんでいるシーンの写真、 視覚障がい者の手を取り盆踊りを教えているシーンの写真、 盆踊りをみんなで踊っているシーンの写真、 八丈太鼓を体験する参加者の写真、 フラダンスを参加者みんなで教わっているシーンの写真 【12ページ】 1-6.ダイバー プログラムのねらい お酒や飲み物を片手に、参加者全員が自由に交流することで、その日得た気づきを深め、共有する。八丈島の満天の星の下、おいしく楽しく交流する。 レポート ダイバー(夜のダイバーシティコミュニケーション)は星空の下で参加者同士と交流ができるプログラムです。その日のプログラムを通じて感じたことや気づきをたくさんの人と話し合うことで、さらに新たな気づきを得られました。 今年は、サイレントバー、バーインザダーク、まぜこぜバーの3つのバーを開店しました。 サイレントバー 音声会話NGで、身ぶり手振りやホワイトボードを使って会話を楽しみます。手話が出来なくてもコミュニケーション豊かに楽しめました。 バーインザダーク 目隠しをして会話やお酒を楽しみます。普段目を通して得ている情報を省いて純粋に味覚や嗅覚だけで感じるお酒の味はまた格別でした。 まぜこぜバー いろいろな特性の方が集まり、会話やお酒を楽しみます。カクテルや八丈焼酎などを楽しみました。 <12ページの写真の説明> ダイバーの様子を写した写真が2枚あります。 まぜこぜバーで参加者が話しているシーンの写真、 サイレントバーで参加者が手話でコミュニケーションしているシーンの写真 【13ページ】 1-7.ユニバーサルスポーツ プログラムのねらい 参加者それぞれの特性を活かしたスポーツのルールをつくったり、工夫したりしながら一緒に体を動かして楽しめるスポーツを体験する。 レポート ペタンク ペタンクとは、鉄球をどれだけ標的に近づけられるかを競うカーリングに似たスポーツです。基本のルールはありますが、参加者の特性に合わせてルールを変更し、ユニバーサルスポーツとして楽しみました。途中で大雨が降って中断するアクシデントもありましたが、各班が一致団結し、熱の入った試合状況で大変盛り上がりました。特性に関係なく一緒にユニバーサルスポーツの楽しさを体験できました。 朝のユニバーサルウォーキング キャンプ場から海まで、様々な特性の人と一緒に歩いてみることで、サポートやコミュニケーションの方法など特性を理解し、気づきを得ることができました。参加した方々は八丈島の気持ち良い朝の風を感じ、清々しい笑顔でした。 <12ページの写真の説明> ユニバーサルスポーツの様子を写した写真が4枚あります。 ペタンクで、他の班との対決で真剣に盛り上がるシーンの写真、 ペタンクで視覚障がいの参加者が鉄球を投げるシーンの写真、 ユニバーサルウォーキングで、さまざまな特性の人と交流しながら歩くシーンの写真、 ユニバーサルウォーキングで、朝の清々しい潮風を感じながら海岸を歩いているシーンの写真 【14ページ】 1-8.振り返り プログラムのねらい キャンプでの体験を振り返り、各自の気づきを班内で共有するとともに、他の班の気づきも共有し、これからその気づきをどう生かすのかを考え、今後の行動につなげる。 レポート キャンプ初日に各班では、初めて会ったメンバーと話し合いながら班名を決め、その思いを込めたフラッグをつくりました。このフラッグに、様々なプログラムや体験を通じて気づきを得るたびに、各自で少しずつ書き込むことで、3日目の最終日には素晴らしい気づきフラッグとなりました。お互い書き込んだ内容を班内で共有し、さらに班を越えて他の班の気づきを共有することで、そこからまた新たな気づきを得ました。 <14ページの写真の説明> 振り返りの様子を写した写真が4枚あります。 気づきをフラッグに書いているシーンの写真、 他の班の気づきを聞いているシーンの写真、 自分の班に戻り、気づきを共有しているシーンの写真、 出来上がったフラッグをもっている、班全員での集合写真 【15ページ】 1-9.コラム 情報保障 今年の情報保障は昨年と同様に手話通訳、要約筆記、そしてホワイトボード等を用い参加者がタイムリーに情報を得られるように配慮しました。また参加者にも交代で要約筆記を体験していただき、耳で得た情報を要約し文字化していく難しさを経験していただきました。班の中では情報の共有の仕方について、より良い方法を話し合っている様子も見られました。 見えない方に向けては、キャンプ場内にガイドロープを設けました。さらにガイドロープには目印に結び目をつけて、見えない方に自分のテントが分かりやすいよう工夫しました。 キッチン 献立は八丈島の食材を活かすよう考えました。また、気温、天候によって参加者の皆さんの食欲や水分摂取量が大きく変わるので、提供する食事量や飲み物の量の調整に配慮しました。キャンプ期間中は、八丈島の方から食材や調理器具を提供いただいたほか、ご飯の炊き出しや調理のお手伝いにも入って頂くなど、キャンプ運営に強力なサポートをしていただきました。 設営 今年は台風の影響による飛行機の欠航で準備スタッフの入島が遅れ、底土野営場でのユニキャン準備は作業開始が遅れてしまいましたが、八丈町役場の方々の協力もあり、開村式までに無事準備を完了することができました。閉村式後には、残っている参加者と共に底土野営場の片づけを行いました。車いすの方と視覚に障がいのある方が協力してテントのペグ(杭)の回収を行うなど、参加者それぞれの特性、能力を活かした撤収作業ができました。 <15ページの写真の説明> キャンプ中の様子を写した写真が3枚あります。 参加者がパソコンで要約筆記をしているシーンの写真、 キッチンのスタッフが食事の準備をしているシーンの写真、 キャンプ場に沢山のテントが建っている様子を飛行機から撮影した写真 【16ページ】 2.企業研修プログラム実施報告 2-1.事前研修 プログラムのねらい キャンプ研修での実践、学びをより充実させるための準備プロセスとして、ダイバーシティについての基本的な考え方、多様な人材の力を引き出す支援型リーダーシップの考え方を講義で学び、多様な講師陣との対話プログラムをワークショップ形式で行います。 レポート 最初にユニバーサルキャンプ in 八丈島の趣旨説明、ダイバーシティと支援型リーダーシップに関する講義が行われました。その後、職場や仕事におけるダイバーシティの現状と課題の把握等を行ったほか、多様性理解のミニワークショップ、おでこに貼られたシールでお互い仲間を探し当てるというアクティビティも行いました。昼食時には、視覚障がいの食事体験を行いました。その後、様々な障がいのある講師や外国人の講師から話を聞いたり、サポートを体験したりするコミュニケーションプログラム、ルームオブダイバーシティにより、様々な特性について理解を深め、多様なメンバーとの協働に必要な工夫や配慮を学びました。コミュニケーションの方法を事前に学べたことで、キャンプへの不安が解消し、より楽しみになったようでした。最後にキャンプ研修での具体的な行動目標を受講者一人ひとりが考え相互に共有し、事前研修を締めくくりました。 <16ページの写真の説明> 事前研修の様子を写した写真が4枚あります。 グループで対話し、職場や仕事の課題を共有しているシーンの写真、 アイマスクを着けて視覚障がいの食事体験をしているシーンの写真、 車いすの講師が日常生活での工夫を説明しているシーンの写真、 目隠しをしての歩行とそのフォローについて体験しているシーンの写真 【17ページ】 2-2.キャンプ研修 プログラムのねらい 事前研修での学びを活かし、自ら定めた行動目標を実践します。多様な参加者と様々なプログラムを共に体験し、またグループ活動ではリーダーとなりグループをまとめていきます。 レポート 1日目、2日目の夜に、その日の振り返りを行います。支援型リーダーシップの実践について、事前研修で定めた行動目標に沿ってできたこと、できなかったことを振り返るとともに、気づきや感じたことを企業研修参加者どうしで共有しました。一人ひとりが自身のことを振り返り、それを言葉にして相手に伝えること、対話を通じて、理解や意識が一層深まります。また、お互いの経験、気づきから、次の日に何にどう取り組んでみるかを考え、よりよい実践につなげます。 <17ページの写真の説明> キャンプ中の振り返りの様子を写した写真が4枚あります。 夕食後、マーキーテントの下、研修参加者が集っているシーンの写真、 1日を振り返り、気づきや感じたことを書き起こしている研修参加者の写真、 次の日に取り組むことを、発表する研修参加者の写真、 講師を交えて、話し合いをする研修参加者の写真 【18ページ】 2-3.事後研修 プログラムのねらい 事前研修、キャンプ研修を通じて得た気づきを出し合い、他者の視点を共有することで学びを深めます。また研修の集大成として、キャンプでの体験、気づきをこれからの実務に活かすためのワークショップを行います。 レポート 参加者はキャンプ以来2週間ぶりの再会でしたが、お互いキャンプネームであいさつを始めるなど、和やかなムードの中で研修が始まりました。最初は、キャンプでの自身の体験を振り返り、相互に感想や気づきを出しあうグループワーク。自分はわかっているという思い込みに気づくことで、そこからお互いに理解し合おうとコミュニケーションをとる意識、姿勢が重要、ちがうこと、多様性は価値、メンバーの自主性にとても助けられた、等、お互いの気づきが共有されました。その後は、ケースに基づいて支援型リーダーシップの実践についてグループ討議。午後は、ブラインドスクエアのアクティビティを通じて、チームビルディングの実践、伝えることや周囲への配慮のしかたの難しさを実感し、自身のふるまいにおける課題をそれぞれに発見しました。そして最後は、体験を仕事に活かすワークショップ。自身の仕事、職場における課題に目を向け、明日から具体的にどのようなアクションを起こすかをまとめ、グループ内で一人ひとり発表。受講者相互にアドバイス、応援メッセージなどを送り合い、企業研修プログラムは終了しました。 <18ページの写真の説明> 事後研修の様子を写した写真が4枚あります。 研修参加者が、キャンプ参加者の気づきが書かれたフラッグを見返しているシーンの写真、 キャンプ研修での気づきを出し合い整理しているシーンの写真、 グループごとに模造紙を手に発表しているシーンの写真、 研修参加者が、苦労しながらブラインドスクエアに取り組んでいるシーンの写真 【19ページ】 3.参加者の声 キャンプアンケート キャンプ参加者にアンケートに回答していただきました。回答結果を円グラフで表しています。 キャンプ全体を通していかがでしたか? すごく良かった74.5パーセント、良かった22.4パーセント、まあまあ3.1パーセント プログラムの量はいかがでしたか? 良かった57.1パーセント、まあまあ18.4パーセント、多かった24.5パーセント キャンプの印象を教えてください。 楽しかった76.1パーセント、物足りない8.8パーセント、すごく疲れた9.7パーセント、その他2.7パーセント、無回答2.7パーセント また参加したいと思いますか? 思う82.0パーセント、わからない16.0パーセント、その他1.0パーセント、無回答1.0パーセント 参加者のコメント(原文のまま記載) ・キャンプは連続で行ってみると、もっとわかると気づきます。 ・体験型イベントとしては非常に濃密であり気づきも多く得られた。 ・内容はほぼ全て必要だと思い、削る所は余りないが、ただただ時間が足りない。 ・とても楽しく、チームだけではなく全体の雰囲気もとてもよかった。 ・心の世界が良かった。 ・上司と若手が次回参加するよう伝えます。 ・ユニボンは楽しませようとする人、楽しもうとする人の温かい気持ちでとても楽しかった。 ・キッチンは苦戦したがチーム愛を深めたきっかけ。 ・キャンプは他の人にすすめたい。 ・楽しいも緊張も少しひっかかってる気持ちも全て持って帰ろうと思います。 【20ページ】 企業研修プログラムアンケート 研修プログラム受講者にアンケートに回答していただきました。回答結果を円グラフで表しています。 本研修は、総合的に見て有意義なプログラムでしたか。 事前研修 とてもそう思う63.0パーセント、そう思う33.3パーセント、ふつう3.7% キャンプ、事後研修 とてもそう思う70.0パーセント、そう思う30.0パーセント 参加者のコメント(原文のまま記載) ・ふだんお話する機会のない方々から、わかりやすく障がいやコミュニケーション方法、生活についておしえていただいて、自分にも先入観等で見えていなかった自分に気づかされました。 ・実際に障がい者の方たちの意見等を聞けて、たいへん有意義だと感じた。 ・各講義、グループワークがそれぞれわかりやすく理解を深められる内容でした。たくさんの気づきをえることができました。今回参加させていただいたことを今後に活かしたいと思います。 ・LGBTの方も参加してほしい。 ・少し時間が長く感じるが、内容が多岐にわたるため、やむないかとも思う。 ・今まで触れずにいたところで気づきとしては、キャンプに参加してなければそのままでいたと思います。振り返りでの気づきなど大切にしたいと思います。 ・多様化していく働き方に対して、とても役に立つ体験でした。 ・ユニバーサルキャンプでの学びがビジネスにしっかりつながり、有効であることがわかった。 ・ふだんではなかなか体験できない気づきがとてもあった。今回の研修で学んだ考え方は今後に活きると感じられた。 ・ケーススタディ演習では、ふだん起こりうる状況を考えさせられました。今後、行動するうえで、非常に役立ちました。また、アクティビティでは、チームワーク、思考力等、これまた経験したことのない実技がおもしろく、違いをおもしろがる、違いは価値であるといった言葉を実践でき、非常に有意義でした。 ・どんな人でもみんなが普通だということ。個性は財産。貴重な意見も財産だし、サービスや商品開発につながる。全員参加型社会を目指すためにも、まずは相手を深く理解し、信頼関係を気づいていくことが大切。キャンプだけに終わらせず、せっかくできた人間のつながり、ネットワークもこれからもいかしていきたい。 ・今回は会社から行かされているという思いから始まり、最後はぜひまた行きたい!という思いに180度変わりました。来年もぜひ参加させていただければと思います。ありがとうございました! 【最終ページ】 NPO ユニバーサルイベント協会 〒108-0075 東京都港区港南2丁目12番27号イケダヤ品川ビル3F TEL 03-5460-8858 FAX 03-5460-0240 E-mail info@u-event.jp URL http://u-event.jp Facebook http://www.facebook.com/uevent.jp NPOユニバーサルイベント協会は、誰もが安全、安心、快適に楽しく参加できるユニバーサルイベントを、多様な能力や特性をもったメンバーと一緒に企画、運営しているNPOです。ユニバーサルイベントの企画、運営や、企業向けの体験型ワークショップ研修を通じて、誰もが力を発揮し、いきいきとした生活を送ることができる社会づくりに貢献しています。 以上、第12回ユニバーサルキャンプ in 八丈島報告書、終わり。