第9回 ユニバーサルキャンプ in 八丈島 報告書 2013年11月 表紙写真:青空のもと、三根小学校の校庭でダイバーシティ・どっぷりコミュニケーションを行なっている様子 ■ユニバーサルキャンプとは ユニバーサルキャンプは、ダイバーシティ(多様性を受け入れること)の考え方のもと、「みんなが一緒にいきいき暮らせる社会」の実現を目指し行われる2泊3日の交流イベントです。 障がいの有無・年齢・性別・国籍に関係なく多様な参加者が集い、キャンプという日常生活より少し不便な環境の中で、互いに協力し、サポートし合います。そうした経験をとおして、参加者一人ひとりが尊厳をもつ対等な関係として自立・自律する。そしてその輪を広がっていく――ユニバーサルキャンプはそんな願いを込めて、八丈島の豊かな自然のもとで毎年開催されています。 開催概要 開催日程:2013年9月21日(土)〜23日(月・祝) 開催場所:八丈島 底土キャンプ場 他 参加者数:106名 主  催:NPOユニバーサルイベント協会 共  催:東京都八丈島八丈町      株式会社丹青社      株式会社UDジャパン ユニバーサルキャンプは多くの人々の協力によって支えられています。NPO、企業・団体から参加する人、個人で参加する人、運営を支える人、地元八丈島の人――こうした多様な関わりから、ユニバーサルな環境が生まれています。 写真:八丈富士をバックに参加者約100人が勢ぞろいしている集合写真。 (「ユニバーサルキャンプとは」終わり) ■ユニバーサルキャンプの活動内容 ユニバーサルキャンプでは、参加者がキャンプという普段と異なる環境の中、様々な体験をとおして他では得られない多くの気づきを得ています。意識が変わる、成長する、そして何より元気になれる。一人ひとりが自分の変化を実感する瞬間が、ここにあります。 参加者の多様性: ユニバーサルキャンプには毎年100人以上の参加者が集まります。障がいの有無・年齢・性別・国籍も様々。多様な人々の交流が多くの気づきをもたらしてくれます。 体験・実践による気づきと成長の促進: ユニバーサルキャンプでは、テント設営から自分たちで行います。自分たちの手で環境と関係性をつくり上げていくことでダイバーシティをよりリアルに捉えることができます。 コミュニケーションを促進する環境: 会場となる八丈島の豊かな自然、開放的な環境がコミュニケーションをより深く、活発にします。 多彩なプログラムでダイバーシティを実感: 様々なプログラムをとおして、少しずつお互いを知り、その違いを受け入れることを学んでいきます。 キャンプだからこそできる深い理解とつながり: ともに食べ、ともに眠り、ともに目覚め、ともに語り合う。夜はお酒を飲みながら… ここでできたつながりは、キャンプが終わっても続いていきます。 八丈島の人々との協働・交流: 地元八丈島の方々との交流も年々深まっています。毎年開催するプログラム「ユニバーサル盆踊り」では、島の特産品を味わいながら地元の方々とともに楽しみます。 気づきの共有と行動への意識づけ: キャンプ中に得た様々な気づきは、各班に配られた「気づきのノート」に書き留めます。多様な気づきを共有し、キャンプから帰った後どのように行動するか考えます。 キャンププログラム  1日目   開村式・テント設営   ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション   ユニ・キッチン   夜のダイバーシティ  2日目   朝のユニバーサルウォーク   ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション   ユニバーサルスポーツ   ユニバーサル盆踊り   夜のダイバーシティ  3日目   朝のユニバーサルウォーク   テント撤去   振り返り   閉村式 写真:キャンプ中の様々なシーンの写真がページ全体に載っています (「ユニバーサルキャンプの活動内容」終わり) ■企業研修プログラムについて ユニバーサルキャンプは、企業向けの研修プログラムも提供しています。いま企業に求められているダイバーシティの視点、多様な人材の力を引き出すためのリーダーシップを身につける機会としてこれまでも多くの企業の皆様にご活用いただいています。 企業研修プログラムの構成 企業研修プログラムは八丈島でのキャンプに加え、事前研修、事後研修の3つから成り立っています。事前研修・キャンプ・事後研修のプロセスをとおして「学習」「行動」「内省」のサイクルを繰り返すことで、組織内外の多様なメンバーと協働し成果を高めるためのコミュニケーション能力やリーダーシップが磨かれます。継続的な実践につながる確かな成長を促すプログラムとなっています。 (事前研修) ・日時 2013年9月4日(水) ・場所 国立オリンピック記念青少年総合センター ・プログラム   講義「ダイバーシティの理解と受容」「支援型リーダーシップ研修」   コミュニケーション実習「ルーム・オブ・ダイバーシティ」   グループワーク(気づきの共有) (キャンプ研修) ・日程:2013年9月21日(土)〜23日(月・祝) ・場所:八丈島(底土キャンプ場他) ・プログラム  ダイバーシティ・コミュニケーション  ユニバーサルスポーツ・イベント  各種体験プログラム (事後研修) ・日時 2013年10月15日(火) ・場所 国立オリンピック記念青少年総合センター ・プログラム  グループワーク(気づきの共有)  ワークショップ(商品・サービスの企画) 研修参加実績 (株)アイエスエフネット、岩渕薬品(株)、(有)エイ・エル・ピー、NTTクラルティ(株)、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)、(株)岡村製作所、コクヨ(株)、サポートワン(株)、三友プラントサービス(株)、(株)スリーマインド、(株)スリーライト、(株)ゼネラルパートナーズ、ソニー(株)、大日本印刷(株) 、(株)丹青社、(株)デンソー、東海エレクトロニクス(株)、東京地下鉄(株)、日産自動車(株)、(株)日本能率協会マネジメントセンター、(株)乃村工藝社、パナソニック電工(株)、東日本トランスポーテック(株)、富士通(株)、富士通デザイン(株)、松下電器産業(株)、三菱電機(株)、(株) UDジャパン、(株)リパック、早稲田システム開発(株) (敬称略、五十音順) (「企業研修プログラムについて」終わり) ■実施報告 @事前研修 事前研修では、講義や実際のコミュニケーション体験をとおして、ダイバーシティについての基本的な理解を深めるとともに、多様な人材の力を活かすリーダーのあり方を学びます。キャンプでの学びをより充実させるための準備プロセスです。 9月4日 国立オリンピック記念青少年総合センター 様々な特性に触れ、知ること。この研修はスタートラインづくりです。 プログラムのねらい 多様化する社会変化を認識し、ダイバーシティについての理解を深めるとともに、多様な人材の力を活かす支援型リーダーシップのあり方を学ぶ。また、障がいのある講師の話を聞き、多様な特性のある人とともに働く知恵と、その可能性を認識する。 レポート 事前研修は、ユニバーサルキャンプを主催するNPOユニバーサルイベント協会の内山理事長による講義から始まりました。「ダイバーシティの理解と受容」と題される講義では、急速に進む少子高齢化、障がい者雇用に関する法令の変化といった社会の変容と、ダイバーシティやユニバーサルデザイン、ユニバーサルサービスの重要性についての説明がありました。 昼食時には、視覚障がいの体験を行いました。アイマスクで目隠しをし、パートナーが食べ物の位置や種類を伝え、食事をサポートします。 午後は「ルーム・オブ・ダイバーシティ」を実施。これは視覚、聴覚、肢体に障がいのある講師から話を聞いたり、サポートの体験をしたりするコミュニケーション・プログラムです。初めて障がい者としっかりと接する参加者も多く、様々な特性について理解を深めました。 そして再び内山理事長より、多様なメンバーが協働する環境で必要な「支援型リーダーシップ」について講義があった後、最後に一人ひとりが研修の感想とキャンプへの意気込みを発表し、事前研修を締めくくりました。 写真@:講義する内山理事長 写真A:グループで話し合う様子 写真B:アイマスクをして昼食をとる参加者 写真C:岡村講師の「体験の部屋」で車いすの体験をする参加者 写真D:守屋講師、飯塚講師の「体験の部屋」でのサポート体験の様子 写真E:渡邊講師の「動きの部屋」で話を聞く参加者 写真F:松村講師の「視覚の部屋」で話を聞く参加者 写真G:石巻講師の「動きの部屋」で話を聞く参加者 写真H:西岡講師の「聴覚の部屋」で話を聞く参加者 (「@事前研修」終わり) Aユニバーサルキャンプ(キャンプ研修) 八丈島での2泊3日のキャンプでは、多様な参加者と様々なプログラムをともに体験し、コミュニケーションを深める中で、ダイバーシティを受容することの大切さに気づきます。また、企業研修参加者はグループ活動のリーダー役をつとめ、事前研修で学んだリーダーシップを実践します。 9月21日 1日目 底土キャンプ場 ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション プログラムのねらい ダイバーシティの基礎としてまずは様々な特性について知るとともに、一人ひとりの違いを知る上でコミュニケーションが大切になることを認識する。また、キャンプ最初のプログラムとして、緊張感をほぐし、参加者間のコミュニケーションを円滑にする。 レポート 聴覚、視覚、肢体に障がいのある当事者からサポートの方法、コミュニケーションをとる上でのポイントなどについて話を聞き、サポート体験を行いました。はじめは少々緊張気味だった参加者も、実際に身体を動かすことで会話や笑顔が生まれ、質問などもスムーズに出るようになっていました。障がいに対するサポートは一人ひとり最適な方法が異なるため、相手とよくコミュニケーションをとることが重要になります。参加者からは「サポートは思いやりや気遣いが大切だと、実際に体験してみて実感することができた。」との声がありました。 写真@:目隠しをしたペアの人をを誘導する参加者 写真A:聴覚障がいの話を聞く参加者たち 写真B:車いすを体験する参加者 (「ダイバーシティ・きっかけコミュニケーション」終わり) ユニ・キッチン プログラムのねらい 夕食を参加者全員で作るプログラム。全員が役割をもって協力して料理を作ることで、一人ひとりの特性や個性、能力について相互に理解を深め、チームワークを高める。 レポート 八丈島の福祉作業所「ちょんこめ作業所」のメンバーをゲストに迎えて実施しました。今年のメニューは、八丈島産の食材を使ったカレー。メンバーの特性を考え、役割分担や連携にも工夫が必要になります。耳が聞こえないメンバーとのコミュニケーションではジェスチャーや手話を駆使して試行錯誤。目の見えない人が野菜を手際よく切る光景には驚きの声もあがり、一人ひとりの能力や個性について多くの気づきが得られました。 写真@:視覚障がいの方を誘導しながら食材を運ぶ様子 写真A:視覚障がいの方が野菜を切る様子 写真B:楽しげに出来上がったカレーを食べている参加者たち (「ユニ・キッチン」終わり) 9月22日 2日目 三根小学校 ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション プログラムのねらい 異なる価値観や視点をもった人々とじっくりコミュニケーションをとることで、その違いや特性を理解し多様性を受け入れるとともに、社会の中で互いを活かす方法や仕組みを考えるきっかけとする。 レポート 会場を三根小学校に移して行う、キャンプのメインプログラムです。校庭にたてたタープテントはそれぞれテーマをもった「部屋」。参加者は各部屋を巡り、そのテーマに関連する特性のある「主人」から、その生い立ちや日々の暮らし、仕事上での工夫、障がいを受け入れたきっかけなどについて話を聞き、その後聞いてみたいことを何でも質問します。主人は各部屋に6人ずつ、参加者の中から選ばれ、順番に話をします。 芝生の校庭でリラックスした雰囲気の中、様々な生活スタイル・価値観・視点をもった主人の話に刺激を受け、徐々に質問が出始めました。 顔を合わせ、その人の話をじっくり聞くという経験は普段なかなかできません。主人の話はそれぞれに歩んできた人生を、そして障がいの有無だけでなく、人の多様性を感じさせてくれます。主人たちとのコミュニケーションから、参加者は多くの気づきを得ていました。 「音の部屋」…聴覚障がい者が主人。コミュニケーションをとる上での苦労や発語訓練の大変さのほか、「筆談は面倒だろうと思うと頼みにくい」という話もありました。 「光の部屋」…視覚障がい者が主人。「独り暮らしは大変だができることは自分でやりたい」「IT環境が整っていれば健常者と同じように活動できる」といった話があり、見えなくても当たり前に家事や育児や仕事をする事に驚く参加者も。 「動きの部屋」…肢体に不便さのある人が主人。生活や仕事の中での工夫について話していただきました。「まだ自分の状況を受け入れられていない」という本音を語る方も。 「関わりの部屋」…「障がいは特別なことではない」という視点から、様々な人生経験を語っていただく部屋。家族に障がい者がいる主人には、家族との関係や社会とのつながりの中での悩み、工夫などを話していただきました。 「ユニバーサルの部屋」…ユニバーサルデザインやダイバーシティ推進などの活動を行っている人が主人。障がい者の就労支援の課題や葛藤のほか、大学での活動、ユニバーサルデザインに配慮した商品づくりなどについて話していただきました。 「八丈の部屋」…八丈島の島民が主人。島の方言や歴史について教えていただいたほか、島に移り住んだ経緯をお話いただきました。 写真@:青空のもと、校庭にたてられたテントの下で主人の話を聞く参加者たち 写真A〜F:各部屋の主人、それぞれ1名ずつの写真 (「ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション」終わり) ユニバーサルスポーツ プログラムのねらい 様々な特性を考慮し、誰もが参加し楽しめる新しいユニバーサルスポーツを考案する。またメンバー全員で一つのプランをつくることを徹底し、話し合いの過程での情報保障を意識してもらう。 レポート 誰もが楽しめるユニバーサルスポーツのルールをグループの中で考え発表しました。皆が楽しめるルールづくりの議論は白熱。時間が足りず休憩時間を使って話し合いを継続する班もありました。また限られた時間でプランをつくる中で、聞こえない、見えない人との情報共有、意見集約に努力する姿も見られました。最終的には、道具をうまく利用したリレーやユニバーサルなカーリングなど、様々なユニバーサルスポーツのアイディアが生まれました。 写真@:班で考えたユニバーサルスポーツを発表する参加者 写真A〜B:アイディアを実演する様子 (「ユニバーサルスポーツ」終わり) ユニバーサル盆踊り プログラムのねらい 地元住民の方々にも気軽に参加していただき、地域との交流を図り一緒に楽しむ。八丈島の文化や特産品など、島の魅力を味わう。 レポート 地元八丈島の方々と一緒に行う交流プログラムです。会場中央では、地元の婦人会やサークルの方々による八丈音頭や八丈太鼓、フラダンスなど様々な出し物が行われました。またキャンプ参加者による手話歌も披露されました。屋台ブースでは、島の方が地元の料理やお酒、飲み物を販売。大盛況で食べ物はすべて売り切れました。 キャンプ参加者は地元の方々と一緒に踊りや太鼓を体験し、みんなで一緒に踊ることで会場が一体となって盛り上がりました。八丈島の魅力を満喫し、地元の方との交流を楽しむことができました。 写真@:キャンプ参加者、地元の方々がみんなで輪になって踊っている様子 写真A:手話歌を披露するちょんこめ作業所の方々 写真B:屋台ブースで食べ物を受け取る参加者 写真C:踊りを披露する地元八丈島の方々 (「ユニバーサル盆踊り」終わり) 夜のダイバーシティ 夜の時間は「五感で楽しむ」をテーマに、キャンプ場に様々な「バー」が開店しました。お酒を片手に、コミュニケーションを楽しみます。2日目の夜にはチームで取り組むワークショップを行いました。 サイレント・バー:店員も客も音声会話禁止。手話や筆談、身振り手振りで会話を楽しみます。 バー・イン・ザ・ダーク:視覚障がいのメンバーが運営。目隠しをして参加します。目が見えないと他の感覚が研ぎ澄まされるのか、「お酒の味がいつもよりよく分かる」との声も。 イングリッシュ・バー:日本語禁止、英語だけでコミュニケーションを行います。 光るきのこ観賞:八丈島に多数自生する発光きのこについて、地元NPOによる解説。今年は残念ながら実物は用意できず写真のみでしたが、自然界の不思議に興味津々でした。 写真@:サイレント・バーで語り合う様子 写真A:バー・イン・ザ・ダークの様子。視覚障がいのマスターと目隠しをした参加者。 写真B:イングリッシュ・バーで英会話を楽しむ参加者 写真C、D:光るきのこの解説を聞く参加者。光るきのこのイメージ写真。 (「夜のダイバーシティ」終わり) 朝のユニバーサルウォーク 2日目、3日目の朝はキャンプ場を離れてウォーキングを行いました。様々な特性の人と一緒に歩くことで、サポート方法やコミュニケーションの方法について多くの気づきが得られました。また、車いす、アイマスク、白杖を使い、障がいの体験も行いました。 写真@:朝日の中、車いすを押して海沿いを歩く参加者たち (「朝のユニバーサルウォーク」終わり) 9月23日 3日目 底土キャンプ場 振り返り プログラムのねらい キャンプでの体験を振り返り、班を超えてお互いの気づきを共有するとともに、3日間で得た気づきや工夫を駆使しコミュニケーションを深めることで、一体感を感じてもらい、今後の行動につなげる。 レポート 班ごとに話し合い、気づきを抽出し、ホワイトボードにまとめていただきました。その後、ワールドカフェ形式で班のメンバーはばらけて、他班のメンバーとディスカッションを行い、他班の気づきも共有しました。再び班に戻った後も熱心に話し合いが行われ、要約筆記による聴覚障がい者との情報共有も要領よく行われていました。 写真@:気づきを付箋に書き出し、班で話し合っている様子 写真A:振り返りを発表する参加者 (「振り返り」終わり) キャンプでの3日間を経て、参加者一人ひとりが多くの気づきを得ることができました。そしてこの時間を共有したことで、参加者の間には強い絆が生まれました。様々な立場、様々な職業・仕事をもった人々が、ユニバーサルキャンプによってつながったのです。一人ひとりがキャンプでの気づきを自分の仕事や生活の中で活かし、またこうした人々のネットワークが広がっていくことで、ユニバーサルな社会の実現につながります。 (「Aユニバーサルキャンプ」終わり) キャンプアンケート 2泊3日のプログラムを終えた参加者の皆様にアンケートへの回答をお願いしました。 キャンプ全体の印象 よかった79.3%  まあまあ20.7% プログラムの内容はいかがでしたか? よかった75.9%  まあまあ24.1% また参加したいですか? はい86.2% 不明13.8% 印象に残ったプログラム すべて。優劣つけがたいです。導入から徐々に心が通じ合って行く全体の構成がすばらしいと思いました。 ユニバーサル盆踊り。八丈島の方々とも交流できたし、参加者全員で楽しめたので。 ユニバーサル盆踊り。八丈島の地元の方との交流もあり、また盆踊りに車いすの方や、視覚障がいの方も加わり、本当に楽しい時間を過ごすことができました。沢山の笑顔に出会えて幸せなひとときでした。 どっぷりコミュニケーション。深い話が聞けて良かった。他の人の話も聞いてみたかった。 ユニバーサルスポーツです。30分という限られた時間の中で特性をもたれている方を交えての考案は非常に難しく、追い詰められる事であれ程注意していたはずの気遣いや思いやりが薄れてしまい、人間の本質が露呈した形となり怖さを感じました。 全体の感想 いろいろな方と触れあうことで、初めてじゃない人も新たな発見や気づきを得られるので、とても良い機会だと思います。 いろいろな特性の人がいるけれど、それをどうやって乗り越えたらいいかなど、みんなで話し合うこと。それはとても大事なことで嬉しいことですね。 自分を見つめなおし、考えるいい機会になりました。他にも知りたいことや、やってみたいことがたくさん浮かんできたので、今後の生活などに活かしていけたらと思います。たくさんの気づきをありがとうございました。 非常にシンプルで完成度の高い体験型プログラムだと思います。 「ユニバーサル」であろうということは、考えすぎるとユニバーサルでなくなっていくような気がしました。キャンプなどを通して、自然に身についていくと良いと思います。 楽しく人間関係が築けること、これがユニバーサルデザインの基本だということを痛感しました。参加者皆の心が通じた感じがします。 (「キャンプアンケート」終わり) B事後研修 事後研修では、キャンプの振り返りを行うとともに、研修の集大成として、ユニバーサルな商品・サービスを企画するワークショップを行います。キャンプで得た気づきをどう活かしていくか、今後の自らの行動を考えます。 10月15日 国立オリンピック記念青少年総合センター キャンプでの体験や気づきを昇華し、明日からの実践を考えます。 プログラムのねらい 八丈島でのキャンプの3日間を振り返り、自身の体験や気づきを出しあい共有することで、また新たな気づきを得る。企画づくりのワークショップをとおして、企業の中で、そして社会の中でどのようにその気づきを活かしていくかを考える。 レポート 事後研修では、まずキャンプを思い出しながら、感想や気づきを出しあうグループワークを行いました。「相互理解のためには、こちらから情報を出していくことが重要」「障がいも『得意』『不得意』の一つと捉えるべき」「お互いに遠慮しあう環境や関係が『障がい』を生む」といった意見があがりました。グループごとに考えをまとめ発表することで、全体に共有されました。 午後は、キャンプで得た気づきを活かし、商品やサービスの企画をつくるワークショップを実施。はじめに内山理事長より、企画立案に関するレクチャーがありました。現状の延長線上で課題を捉えるのではなく、全く新たな視点から課題を形成する「照射型」アプローチについて解説がありました。各グループとも課題の設定、コンセプトづくりに苦労したものの、それぞれの視点で社会の中の課題を見出し、それを解決する商品・サービスを考え、「鉄道車両のユニバーサル化提案」「移動を支える新しいモビリティ」「インフラと連携したナビゲーションシステム」「コミュニケーション教育プログラム」など、ユニークな企画が生まれました。企画の随所にユニバーサルデザインに対する高い意識も見受けられ、キャンプを経て意識が変わったことを実感しました。 最後に、一人ひとりが全体の感想と今後の抱負を発表し、計5日間にわたる企業研修プラグラムは終了しました。 写真@、A:商品・サービス企画ワークショップで、グループで話し合っている様子 写真A:模造紙に企画内容を書き込む作業の様子 写真B:企画内容をプレゼンテーションする様子 (「B事後研修」終わり) 企業研修参加者の声 東日本トランスポーテック株式会社 設備事業部 設備工事部 設計課 青木 義之さん 車両基地の設計部門で、基地内の各種機器に関する仕様書の作成・管理を担当。 企業研修参加者としてユニバーサルキャンプを経験し、コミュニケーションや人との関わり方について、いろいろな気づきを得ることができたと思います。 特に印象深いプログラムはユニバーサルスポーツです。限られた時間の中でチームとしてのプランをまとめることを急ぐあまり、聴覚に障がいのあるメンバーと十分議論できませんでした。焦ると冷静さを欠いて、周りへの配慮を忘れがちになります。もっといい方法があったのではないかと、考えさせられるプログラムでした。 全体を振り返って思うのは、コミュニケーションにおいて自分から能動的に動くことの大切さです。正直人前に立つのは苦手な方なのですが、キャンプの途中から自分の中で少しスタンスを変え、より積極的に動くよう心がけたことで、班のメンバーとのコミュニケーションもスムーズになったと感じています。 障がい者に限らず、人にはそれぞれの特性があり、様々な性格の人がいます。コミュニケーションがうまくいかないとき、「こういう人だから仕方がない」と諦めてしまったら、何も生まれません。相手を理解しようとすること、自分から心を開いてコミュニケーションをとろうとする意志を持つことが重要なのだと思います。また、表面的なやり取りで場を取り繕おうとすると、その態度は相手には伝わってしまい、本当に分かり合うことはできません。真剣に相手のことを考え向き合うことが大事なのだと思います。 今後は、自分自身の仕事の中でそうしたコミュニケーションを心がけ、仕事の質を高めていきたいと思います。もちろん、うまくコミュニケーションできない場面はたくさんあると思います。キャンプで得た気づきを現実の仕事の中で実践していくことは簡単ではないのかもしれません。「ユニバーサルキャンプでは特性を当たり前に受け入れるような空気があるが、現実の社会は必ずしもそうなっていない」。何度もキャンプに参加しているリピーターの方がそう指摘していたのも印象的です。しかし、難しさがあるとしても、チャレンジしていきたいと思います。ユニバーサルキャンプでの経験があるからこそ、そのように思えます。 <企業プロフィール> 鉄道車両とその検査・修繕のための設備機械を対象に、企画・設計・コンサルティングから製造・工事・保守管理まで一貫したサービスを提供する総合エンジニアリング会社。 株式会社丹青社 CS事業部 デザイン統括部 デザイン1部 3課 長谷川あみ湖さん 百貨店やサービスエリアの商業施設など、大型の商業施設のデザインを担当。 はじめは「初対面の人たち100人と一緒にキャンプをする」ということに不安もありました。しかし今は「行ってよかった」と思っています。 キャンプ中は基本的に班単位で行動しますが、とにかく班のメンバーとずっと一緒にいたことがとても印象的です。各プログラムはもちろん、移動も食事も一緒。こんなにも長い時間行動を共にし、常に話し合いながらチームで行動する経験はあまりありませんでした。 メンバーは、性格も職業も年齢も得意なこともみんなバラバラですが、対等な関係の中で話せたと思います。どんな意見も切り捨てず、全部取り込んでそこからチームとしての考えを構築していくスタイルで、話し合いはとてもスムーズにできました。私自身は、班の中では副リーダーをつとめました。もともと私はリーダーシップをとるタイプではないと思っていたのですが、事前研修で教わった「支援型リーダー」という考え方がすごく心に残っており、メンバーが気持ちよく話し合えるよう心がけました。逆にぐいぐいチームを引っ張ってくれる人、積極的に意見を出してくれる人もおり、それぞれの個性が出て理想的なチームワークを発揮できたと思います。私の仕事でも、大型施設のデザインにはチームで取り組むことが多いので、この経験を日常の業務に活かしたいと思います。 多様な人との協働という点では、お客さまや、私たちが手掛ける施設の利用者との関係についても同じです。お客さまはこちらと違う視点をもっており、たとえばこちらがカッコいいデザインのお店がよいと思っても、お客さまはカッコよさよりも親しみやすい、気軽に立ち寄れるお店を求めているかもしれません。お客さまの立場に立ち、その考えをしっかりと理解して、お客さまに喜ばれるデザインを提案していきたいと考えています。 ユニバーサルデザインについての意識もキャンプの経験を経て変わりました。たとえば商業施設の中でスロープをつくるときも、単に「必要だからつくる」のではなく、実際に利用する人のことを考えることで本当に使いやすいものがつくれると思います。 自分と全く違う世界の人々との出会いによって、新しい考え方や視点に触れることができました。そして班のメンバーや社内でも接点のなかった別部署からの参加メンバーとはキャンプの後も食事に行ったりと、キャンプだけで終わらない良いつながりができました。ユニバーサルキャンプは自分の世界を広げていく良いきっかけになったと感じています。 <企業プロフィール> 「空間づくりのプロフェッショナル」として、商業空間や文化空間、イベント等の企画、デザイン・設計、制作・施工、運営等を行う。 写真@:青木さん顔写真 写真A:キャンプ中の青木さんの写真(ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーションで話を聞いている様子) 写真B:青木さんの班の集合写真 写真C:長谷川さん顔写真 写真D:長谷川さんの班の集合写真 写真E:キャンプ中の長谷川さんの写真(ジェスチャーをしながらコミュニケーションしている様子) (「企業研修参加者の声」終わり) ■主催者メッセージ 〜いま求められるダイバーシティの実体験〜 いま、社会の価値観は大きく転換しようとしています。 日本社会は急速な少子高齢化により、たった50年で生産年齢人口が半減するという人口構成の激変の最中にあります。社会の構造やニーズは大きく変わりつつあります。もっとも人口の多い世代が65歳を過ぎたいま、元気なうちはいつまでも働ける社会システムが求められてきています。また、育児や介護中の女性・男性、障がいのある人の就業が当たり前になってくると、今までの元気で若い人中心の社会システムは大きなひずみを起こします。高齢になっても、障がいがあっても一人で活動し働ける社会や企業環境、育児や介護中でも働ける柔軟な雇用環境を創造していく必要があるのです。女性・高年齢者・障がいのある人たちが、当たり前に一緒に働き、それぞれの能力を発揮できる社会環境が真剣に求められています。そして企業は、既存の仕組みや商品・サービスのあり方を見直し、全員参加の社会に求められるユニバーサルデザイン・ユニバーサルサービスを実現し、社会に提供していかなければ、存続し成長していくことはできないのではないでしょうか。 ユニバーサルデザイン・ユニバーサルサービスを創造していくには、多くの多様な特性のある人々と直接ふれあい、それぞれの価値観や特性の違いを当たり前に受け止められる体験が何より必要です。 ユニバーサルキャンプin八丈島は、その貴重な実体験の場なのです。 快適な社会環境の中でいわゆる「健常者」と言われている人たちは、自分は障がいとは関係ないと思いがちです。しかし、誰にでも不便さや苦手なことがあります。環境が変われば誰でも障がい者となり得るのです。そのことを体験していただきたい。そう考え、このユニバーサルキャンプin八丈島を始めました。 八丈島の底土キャンプ場は何もない場所です。普段とは違う不便な環境の中で、テントを張ることから始め、3日間みんなで一緒に様々な体験をします。 「健常者」がテントをたてるのに苦労しているかと思えば、車いす使用者が上手にテントをたてたり、目の見えない人が手際よく料理をしたりしています。それぞれに得意なこと不得意なことがあり、できることとできないことがある。そのことに気づき、やがて誰に障がいがあって、だれに障がいがないのか、分からなくなってくるのです。 特に、様々な特性のある人が自分の仕事や生活の話をする「ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション」というプログラムを体験した後では、参加者の顔が変わります。「障がいってなんだろう」「障がいがあってもすごいことができる」「自分にも障がいがある」など、大きな気づきを受け止めていることがわかります。 違いを知り、違いが当たり前だと気づき、障がいがある人もない人も同じ環境で、それぞれに助け合いながらコミュニケーションの工夫を重ねて、自分の心をオープンにし、多様性を受け入れることの重要性を深く感じていただきます。 こうした実体験をすることで、初めて本当に多様な人たちが一緒に活躍する社会の可能性と重要性に気づくことができるのではないでしょうか。そして、自分の行動を変えることができるのではないでしょうか。 特に企業の方々を対象に提供している企業研修プログラムは、キャンプに加えて事前、事後の研修も実施しており、これからの多様な特性の人々が活躍できる環境創造の担い手になれる実体験と感性を培える場となっています。 ぜひ、多くの皆さんに参加していただき、活力ある社会の担い手になってほしいと願っています。そうした社会づくりの推進が、ユニバーサルイベント協会の理念でもあります。 NPOユニバーサルイベント協会 理事長 内山早苗 『障がい者雇用・育成支援』『ノーマライゼーション/ダイバーシティ促進』活動に携わり、障がいの有無に関係なく全ての人が社会参加できる環境づくりに取り組んでいる。 写真@:「ユニバーサルスポーツ」の様子 写真A:事後研修でグループで話し合う様子 写真B:キャンプ中、班で話し合う様子 写真C:「ダイバーシティ・どっぷりコミュニケーション」の様子 写真D:内山理事長の顔写真 (「主催者メッセージ」終わり) ■NPOユニバーサルイベント協会について ユニバーサルイベント協会は、「ユニバーサルイベントの基本構造」を基軸とし、イベントの運営・サポート活動などを行うNPO法人です。 「障がい者対応」「高齢者対応」を特別に考えるのではなく、企画・設営・運営すべてにわたり、誰もが参加できることを前提に考えられる「ユニバーサルイベント」の実現と普及を目指し、「ユニバーサルキャンプin八丈島」を主催するほか、手話サークル、ユニバーサルスポーツなどのイベント開催、ユニバーサルスポーツ・コーディネーターの育成、ユニバーサルイベントに関する研修・講演・出版・調査などに取り組んでいます。 イベント情報等については当協会のフェイスブックまたはウェブサイトをご覧ください。 ユニバーサルイベント協会では、協会活動およびイベントの実施にご協力いただける方を募集しております。 スタッフとして、また協賛や賛助などで一緒にユニバーサルイベントを創り上げてみませんか? 皆様のご参加・ご協力を心よりお待ちしております。 ユニバーサルキャンプ支援パートナー 主に企業などで、ユニバーサルキャンプの実現・普及を以下の面から支えてくださる方 ・資金面での協賛 1口50,000円より   ・物品・サービス等の面での協賛 ・ユニバーサルキャンプ実行委員としての参画・キャンプ運営参加 会員パートナー 正会員:本会の目的に賛同し、活動に参加していただける法人・団体または個人 ・法人100,000円、個人12,000円 賛助会員:本会の趣旨に賛同し、活動に協力していただける法人・団体または個人 ・法人50,000円、個人7,000円 協力パートナー 主に個人、NPO、企業などで、以下の面についてご協力いただける方   ・計画から実施運営までのノウハウの提供、人的支援協力 ・活動を広げるためのネットワーク連携企画・活動などの実施 お問い合わせ NPOユニバーサルイベント協会 〒108-0075 東京都港区港南2丁目12番27号 イケダヤ品川ビル3F TEL:03-5460-8858  FAX:03-5460-0240 E-mail:info@u-event.jp URL:http://u-event.jp/ Facebook:http://www.facebook.com/uevent.jp (「NPOユニバーサルイベント協会について」終わり) ■感謝 ユニバーサルキャンプ in 八丈島は多くの方々のお力添えにより実現しました。 【研修参加企業】 株式会社アイエスエフネット サポートワン株式会社 三友プラントサービス株式会社 株式会社スリーマインド 大日本印刷株式会社 株式会社丹青社 東海エレクトロニクス株式会社 株式会社乃村工藝社 東日本トランスポーテック株式会社 株式会社UDジャパン 10社22名 【協賛】 大塚製薬株式会社 シルバーソルテック株式会社 東京海上日動火災保険株式会社 東京キリンビバレッジサービス株式会社 東明興業株式会社 日本通運株式会社 日本マイクロソフト株式会社 株式会社マルハニチロ食品 写真@:大塚製薬(株)より提供の飲み物 写真A:東京キリンビバレッジサービス(株)より提供の飲み物 写真B:(株)マルハニチロ食品より提供の食品 【協力】 NPO法人江戸川手話通訳者協会 シャムロック・レコード株式会社 ちょんこめ作業所 学校法人東京マスダ学院 Dreamers Japan株式会社 日本ブラインドサッカー協会 八丈町のみなさん NPO法人ユニバーサル・サウンドデザイン 【後援】 国際ユニヴァーサルデザイン協議会 一般社団法人日本イベント産業振興協会 一般社団法人日本イベントプロデュース協会 一般社団法人日本空間デザイン協会 公益社団法人日本サインデザイン協会 一般社団法人日本商環境デザイン協会 一般社団法人日本ショッピングセンター協会 公益社団法人日本フィランソロピー協会 主  催:NPOユニバーサルイベント協会 共  催:東京都八丈島八丈町      株式会社丹青社      株式会社UDジャパン ■奥付 第9回ユニバーサルキャンプin八丈島 報告書 発行・編集 NPOユニバーサルイベント協会 デザイン・印刷 株式会社ZUGA 発行年月 2013年11月 ※第9回ユニバーサルキャンプ in 八丈島 報告書 終わり