プロスポーツチームと行うユニバーサルスポーツイベント ー ユニバーサルスポーツ部会 阿南有紀
2021年12月08日 コラム-「ユニバーサルスポーツを僕らはやりたいんです」
そう問い合わせをしてきたのはJリーグのチームであるモンテディオ山形のSDGs企画担当者だった。ユニバーサルイベント協会ではユニバーサルスポーツの推進を行ってきたが、スポーツチームからお声掛けいただいたのは初めてでとても嬉しかった。
しかし、話の詳細を聞いて難しいイベントだということがわかった。私たちは今まで企業からの研修参加を含め、何らかの興味関心がある人に対して学びも含めた体験のプログラムを行ってきた。はたして、サッカー観戦目的で来た「クラブのサポーター」の人たちに障害特性を理解してもらい、一緒にスポーツをやりたい!という気持ちになってもらうことができるのか。そしてスポーツ好きの人たちの前では、スポーツ自体は下手くそな私たちがブースに立っても、面白そうに見えないんじゃないか。少しネガティブな考えになってしまいました。
なるべく分かりやすく、でも目の前にいる人の特性を少し理解でき、一緒に楽しむための工夫をする体験ができるようなゲームを考えた。サポーターであれば誰もが知っているPKをもとに障害特性ごとに「できないこと」「そのための基本ルール」「楽しむための工夫ルール」を用意した。「工夫ルール」は、3つ用意し参加者に選んでもらうことにした。
「ユニバーサルスポーツ」は、これがユニバーサルスポーツという形があるわけではなく、可能性は無限で、参加者みんなが楽しめれば良い。だからこそ一つのルールに縛りたくなかった。
イベント当日…
試合前のサポーターが何をやっているかと覗きにどんどん近づいてくる!
「こんなに人がくるの!!!」そのエリアはクラブが年間通してSDGsコーナーを実施していて、サポーターはとても興味をしめしてくれた。
目の前の視覚障がい者にびっくりしつつも話を聞く子ども
見よう見まねでありがとうの手話をして帰る家族
車椅子ユーザーにゴールをブロックされてだんだん本気になってくるサッカー少年…
視覚障がい者がセーブしたボールを自然に自分の所に戻す姿をみて、なんで私の場所がわかるのか聞く大人…
各々の参加者が目の前の人に興味をもってチャレンジしている姿。
今まで見たことのないぐらい機敏な動きを見せる障害特性のあるメンバー。
予想以上の参加者数に慌てて導線整備をしました。
カウントしきれなかった部分もありますが、
体験人数 159人(大人98子供61)
体験内容としては、視覚49聴覚43車椅子67(重複体験なし)
本当に多くの方に体験いただきました。
短い時間でコンパクトな内容ながら、一緒にスポーツを楽しめたのは紛れもない事実である。そして、どうせ興味もってもらえないだろうな、どうせ面白そうに見えないだろうな、と、思っていた自分に、ある種の思い込みがあったのではと、反省をした。
人は思っている以上にきっかけさえあれば関わりあえるし、一緒に楽しめる。そのことを改めて教えてもらえたイベントとなった。これからはもっと初めてのところへ、ユニバーサルイベント協会として、ユニバーサルスポーツコーディネーターとして、飛び込んでいきたいと感じた。
ユニバーサルスポーツ部会
阿南