「伝わらない」を「伝える工夫」へ――ユニキャンで気づいたコミュニケーションの本質 ー ユニバーサルイベント協会 井上直人
2026年03月08日 コラムはじめまして、ユニバーサルイベント協会理事の井上直人です。
当協会では、「ユニバーサルキャンプ in 八丈島(以降ユニキャンとします)」というイベントが長く行われています。
私もそのイベントに参加してから当協会にお世話になっています。
この体験で私の他者との関わりが変化し、自分自身も変化したので、そのお話をさせていただこうと思います。
皆さんも普段お仕事をされていると思います。その時にストレスを感じていませんか?
「メールで指示したのに、なんでやってくれないんだろう?」
「この話、この前もしたよね。なんでやっていないの?」
よくある、仕事中の不満(ストレス)ですね。
さて、ユニキャンではこのような指示や連絡に対して、情報保障が行われます。参加者は、視覚障害・聴覚障害・精神障害など、さまざまな状況に置かれています。視覚障害の皆さんにキャンプ場の構造(位置関係)を知っていただくために「触地図」を用意したり、聴覚障害の皆さんにはアナウンスに手話がついたり、文字情報での提供もあります。その他にも、さまざまな工夫で情報が伝わるように準備しています。
そうなんですよね。情報(指示や依頼)って、伝わらないと意味がないんですよね。
視覚障害の皆さんに「配布資料に書いてあるので読んでください」。
聴覚障害の皆さんに「さっきお話しした通りです」。
これ、伝わっていませんよね。
先ほどの
>メールで指示したのに、なんでやってくれないんだろう?
>この話、この前もしたよね。なんでやっていないの?
これは、目からの文字情報が伝わりにくいのかもしれません。耳からの情報が伝わりにくいのかもしれません。そう思えば、情報(指示や依頼)が伝わらないことに不満を持たずに、伝える工夫につながるのだと思います。そんな学びをいただけたイベントです。
その中で、楽しい実例があったので、2つご紹介しておきます。
ユニキャン終了後の撤収作業時
1.視覚障害の参加者との運搬作業
「危ないから離れて見ていて」と言われることの多かった視覚障害の参加者が、私と一緒なら重量物を肩に担いで運搬できた、と言ってくださったことがありました。
視覚情報が無いということは、環境の事前情報が無いということです。なので、長いものを持つときは私が前方を担ぎ、周辺情報を声で伝えます。次の動作も声で伝えます。こうやって情報保障を行い、一緒に汗をかいたのは良い思い出です。
2.食器洗いの場面
使用した食器類を子ども用プールでまとめて洗う作業を、手話の上手なメンバーと聴覚障害のメンバーにお願いしました。
しばらくして様子を見に行くと、思いのほか進んでいませんでした。何か問題があったのかと観察すると、おしゃべりしていて進まないようでした。このような作業は、おしゃべりしながら進むだろうと想定していたのですが、その“おしゃべり”は手話でした。それはそうですよね。手話でおしゃべりします。(手話でのおしゃべりがいけないと言っているわけではありません)これは、私の想定が間違いでした。特性を理解した作業分担・時間想定が大切だと思います。
こんな学びを得て、声での指示、文字での連絡、そして「伝わること」の大切さを学んだイベントです。


井上直人

